研究課題/領域番号 |
25462309
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
平泉 裕 昭和大学, 医学部, 客員教授 (10255870)
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研究分担者 |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 助教 (20349062)
徐 枝芳 昭和大学, 薬学部, ポストドクタ- (60646298)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 骨髄間葉系幹細胞 |
研究概要 |
本年度は脊髄損傷に対するヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)の有効性の解明を行うためにマウスの脊髄損傷モデルを作成しhMSCsの脊髄内移植を行った。脊髄損傷はC57/BL6系マウスの11および12胸髄の椎間をナイフで切断することにより作成した。hMSCsは損傷部位より一椎体尾側の椎間から損傷1日後にhMSCs (1x10^5個)投与した。一部の細胞は赤色蛍光色素であるPKH26をラベルし細胞の挙動を組織学的に検討した。さらに細胞の組織内残存数をヒトAlu遺伝子のゲノムPCRにより定量した。 脊髄損傷を起こしたマウスは下肢の運動機能障害を起こしマウスの運動機能評価スコア(バソマウススケールBMS)で1.5ポイントを示した。脊髄損傷1日後,hMSCsを医あ移植したところ移植後7日以内に,細胞を移植したマウスは対照群に比べ有意なBMSの改善を認めた。さらにこれらのマウスの脊髄損傷領域をクリア瘢痕として調べると,グリア瘢痕は有意な縮小を認めた。同様の実験を凍結融解により細胞を変性させたhMSCsにより検討するとBMSの改善と損傷領域の改善は全く認められなかった。hMSCsの挙動をPKH26ラベルした細胞にて行うとはhMSCsは移植直後には移植部位のみに認められたが移植7日後には脊髄損傷領域への遊走していることが明らかとなった。しかし,ヒトAlu遺伝子の解析により細胞数は7日で移植直後の1%さらに14日で0.01%と著減した。今後作用機序の解明を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,脊髄損傷モデルに対するhMSCsの有用性およびその挙動を検討した。その結果hMSCsの脊髄損傷に対する有用性が確認でき順調に解析が進んでいると考えられる。次年度にこれらhMSCsの細胞死抑制機構の解明を行うための下準備ができた。現在,近年申請者らのグループが見出しhMSCsの神経ペプチドPACAP制御をベースとした解析を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,昨年度得られたhMSCsの脊髄損傷に対する保護効果をもとにその機構の解明に取り組む。本年度の結果は,変性させたhMSCsは細胞死抑制作用がなくなることが見出されている。この結果はhMSCsとレシピエントの組織の相互作用が細胞死の抑制に重要であることが考えられる。この点を踏まえて次年度は研究を進める。特に神経ペプチドのPACAPがこの作用に関与している可能性を見出しているのでPACAP遺伝子欠損マウスを用いてhMSCsの移植およびサイトカインなどのELISAを試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2月-3月に消耗費として物品費として購入した試薬・備品があるが年度末の関係上,決算できなかった。さらに3月末に行われた学会の決算が報告書の作成上決算できなかったためであり,実質未使用分はほとんどない。 次年度は生化学的検討や分子生物学的検討をする予定であり,本年度より物品費が増えることが予想されている。さらに,本年度得られた結果を国内外の学会へ報告する予定である。
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