研究課題/領域番号 |
25462309
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
平泉 裕 昭和大学, 医学部, 客員教授 (10255870)
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研究分担者 |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 講師 (20349062)
徐 枝芳 昭和大学, 薬学部, ポストドクター (60646298) [辞退]
渡邊 潤 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (50649069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨髄間葉系幹細胞 / PACAP / 造血幹細胞 / 交感神経 / 神経節 |
研究実績の概要 |
昨年度,当該研究者らは脊髄損傷モデルマウスに対し,ヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)を移植したところ脊髄損傷領域の減少と炎症性サイトカインの抑制を認めた。しかし,神経ペプチドのPACAPの遺伝子欠損マウスにhMSCsを移植したところその脊髄損傷抑制作用が失われることを示した。更にhMSCsがマウスの脊髄においてPACAP遺伝子の発現を促している機構を明らかにした。当該年度はそのPACAPの炎症における役割及び造血細胞へ対する役割を調べた。マウスより骨髄を取り出しPACAPおよびPACAP特異的レセプター(PAC1R)の遺伝子発現を調べたところPACAP遺伝子は発現していなかったがPAC1Rの発現は認められた。その細胞を詳細に調べると造血幹/前駆細胞に発現が強く,造血細胞の成熟に伴いその発現が低下することを認めた。さらに,CD34(+)造血前駆細胞にPACAPを加えるとサイクリンD1の遺伝子の増加と細胞周期の修飾がみとめられPACAPが造血ニッチに関与していることをしめした。PACAPの供給源を調べたところ骨髄に投射する脊髄傍神経節細胞に発現がみとめられ,その神経は交感神経であった。この結果は,PACAPが脊髄のみならず交感神経節にも存在し,造血ニッチを調節していることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究においてPACAPが骨髄ニッチに関与することを明らかにした。hMSCsは部分的にPACAPを介し炎症の抑制に関わっているが,本研究の結果によりhMSCsがimmune depressing syndromeを修飾できる可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は蛍光ラベルしたヒトおよびマウス骨髄間葉系幹細胞を脊髄に移植しマイクロダイセクションにより移植細胞リッチ分画から遺伝子を得る。脊髄損傷マウスと正常マウスで比較し移植したMSCsがどのような応答をしているか,またレシピエント組織とどのようにコミュニケーションをとっているか調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に出版が確定したSci Repの出版費用として充当するために,予算の一部を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,脊髄損傷モデルにhMSCsを移植し,マイクロダイセクションを行う予定である。実験用の動物,麻酔薬脳購入,マイクロダイセクション用のスライドガラス,試薬およびその後の解析に用いるプライマーやPCR用の試薬購入する予定である。また,国際学会に参加予定である。次年度も計画通りに遂行したい。
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