研究課題
これまで我々は、脊髄損傷に対するヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)の有効性の解明を行うためにマウスの脊髄損傷モデルを作成しhMSCsの脊髄内移植を行ってきた。その結果、hMSCsの移植がマウスの脊髄損傷後の運動機能と損傷体積を有意に抑制することを見出している。その過程において、脊髄損傷部位より一椎体尾側に移植したhMSCsが7日間で損傷部位に向かい遊走しているような組織像を得た。しかし、hMSCsの損傷部位へのホーミングは十分に理解されていない。そこで我々は、脊髄損傷時においてどのようなケモカインが脊髄損傷部位で増加するのか調べた。脊髄損傷はC57/BL6系マウスの11および12胸髄の椎間をナイフで切断することにより作成した。脊髄損傷前および損傷後1、3、7、14日に損傷部位を含む4椎体を取り出しmRNAを抽出した。通例に従いcDNAを作成しRT-PCRおよび定量的PCRによりケモカインの変動を調べた。脊髄損傷後、マウスは直ちに下肢麻痺をひき起こし14日間で下肢の運動機能の評価法であるバソマウススケールで3以下とほとんど回復しなかった。これはこれまでの我々の結果と一致した。神経マーカーであるneuron specifi enolase (eno2)の発現は損傷3日後まで低下しその後わずかに回復した。アストロサイトマーカーであるgfapは7日後まで増加しその後わずかに低下した。一方、マイクログリアマーカーのaif1の発現は14日まで継続的に増加した。そこで、マイクログリアやマクロファージに関わるケモカインを調べたところ、脊髄損傷後1~3日に増加するケモカインと、14日に急激に増加するケモカインに大きく分類された。今後、それらのケモカインがhMSCsの遊走を導くのか、また脊髄損傷時の炎症とどのように関連付けられるのか明らかにしていく予定である。
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