研究課題/領域番号 |
25462314
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
北條 達也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40298740)
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研究分担者 |
井澤 鉄也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70147495)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 軟骨細胞 / 物理療法 / 温熱療法 |
研究概要 |
実験開始当初は家兎軟骨から採取した軟骨細胞を用いて温熱負荷実験を実施したが、軟骨の培養状態が安定せず、結果にばらつきが発生したために、株化軟骨細胞を用いて温熱負荷の予備実験を実施した。 株化軟骨細胞用細胞(HCS)をconfulentまで培養した後に、恒温槽に培養細胞の入ったプレートを防水密封する形で浸漬して37℃対照群、41℃・43℃・45℃×15分・30分温熱負荷群を作成して、細胞増殖能・基質産生能(プロテオグリカン・Type IIコラーゲン)・HSP-70遺伝子発現を評価した。 それぞれの群では温度と時間の両方に依存した温熱量によって変動し、41℃15分・30分と43℃15分では有意に細胞増殖能・基質産生が亢進した。45℃の温熱負荷では培養軟骨細胞が最終的に死滅して実験の継続は不可能であった。 軟骨細胞の産生する主たるストレス蛋白のひとつであるHSP-70は、41℃・43℃・45℃温熱刺激で、温熱量が高くなるほど遺伝子発現が亢進することがrt-PCRを用いた測定評価によってわかった。ただし、45℃では軟骨細胞は死滅して実験継続は不能であった。また、HSP-70の遺伝子発現は、負荷する温熱量によって差異はあるものの温熱負荷後48時間以上亢進することがわかった。 現時点の問題点として株化細胞には腫瘍遺伝子の導入がなされているため、温熱に対する反応がプライマリー細胞のそれとは異なる可能性があるため、26年度は継代に限界はあるものの株化されていない細胞を用いた実験に移行する予定で、細胞の選定を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたプライマリー細胞使用による研究結果が不安定であったため、用いる細胞種の変更をしたこと。 研究施設の増築工事が年度内に実施され、研究室・実験室の移転等があり、研究室・実験室のへの新規機材の搬入の遅れ等も加わり、研究室・実験室の機能が数か月にわたって低下ないし停止した。
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今後の研究の推進方策 |
現在使用している株化細胞を、温熱に対する反応がプライマリーに近い継代限界のある細胞種を用いて再度検討を加える。 上記によって温熱負荷の条件を決定した後、同条件で温熱処理を加えてHSP-70を誘導した細胞に対して、再度温熱負荷をかけて細胞のアポトーシスに対する耐性が亢進していることを確認する。また、再度温熱負荷をかけるタイミングを、初回温熱負荷後どのくらいのインターバルで負荷を変える条件が最も有効であるか検討を加える。 再負荷は現実的には、圧負荷であることが最も臨床に近い条件であるが、今年度の目標としてまずは温熱負荷を再度かけることによって耐性の亢進があるか確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究施設の増築工事が年度内に実施され、研究室・実験室の移転等があり、研究室・実験室のへの新規機材の搬入の遅れ等も加わり、研究室・実験室の機能が数か月にわたって低下ないし停止したため、当初予定していた使用額よりも使用額が少なくなったため。 新研究施設の使用が4月から可能となり、5月には細胞培養実験室・分子生物学実験室の運用も正常化するため、研究計画の遅れを挽回するように実験のペースアップを図る予定である。
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