研究実績の概要 |
1)昨年度に得られた、ヒト腰椎9体(平均年齢59歳;標準偏差11 歳; 女性2, 男性7)のMRI(3T;T2強調矢状面;FOV=16-20㎝;3mmスライス厚;TR=2000ms;TE=90ms;512x512画素)および椎体終板前部・中央部・後部の3箇所より作成された直径4.9 mmの円柱上試験片(計54試験片)のマイクロCT画像より定量化された椎体終板内栄養管3次元微細構造が解析された。2)栄養管3次元微細構造の解析は、島津マイクロフォーカスX線CTシステム(SMX-160CTS;解像度2μm)で撮像された円柱試験片のマイクロCT画像より作成された個々の栄養管3次元モデルを用い、栄養管の直径・長さ・容積・配向の解析により行われた。3)椎体終板より計595本の栄養管3次元モデルが作成された。個々の栄養管の主固有ベクトルと終板試験片表面の法線ベクトルとの角度により、個々の栄養管を終板に対して水平(60-90度)・傾斜(30-60度)・垂直(0-30度)の3つの群に分類して解析を行った。4)栄養管の平均直径は、椎体終板前部で水平64.7μm;傾斜65.7μm;垂直68.0μm、椎体終板中央部で水平55.5μm;傾斜63.3μm;垂直74.7μm、椎体終板後部で水平55.4μm;傾斜55.2μm;垂直48.6μmであり、部位により有意の差が認められた(p<0.001)。椎体終板後部の栄養管の平均直径は、椎体終板前部(p<0.001)、椎体終板中央部(p<0.001)に比べ小さかった。栄養管の直径と長さの積より求められた平均容積の部位別差(p>0.5)および配向による差(p>0.5)は認められなかった。栄養管の配向の分布は部位に関連していた(カイ2乗検定:p<0.01)がMRIによる椎間板変性度(Pfirrmann分類)との関連は認められなかった(カイ2乗検定:p=0.3)。
|