最終年度はこれまでの結果を踏まえ、ヒトサンプルにてpNF-Hの特性を検討した。脳脊髄液中と血中の濃度差を明らかにするために、腰部脊柱管狭窄症の症例に対し血中と脳脊髄液中のpNF-H測定を行ったところ、血中のほうが平均で10倍高いことが分かったが、症例によって変動が大きいことが分かりpNF-Hの血中移行には病態に関連したメカニズムがあることが示唆された。一方、中枢神経障害である頸髄症の血中濃度測定を行ったところ、約3割の症例にのみ血中pNf-Hは陽性であり、陽性例は脊髄神経の障害が進行している症例であることも分かった。すなわち、血中のpNF-H値上昇には神経損傷に加えて、病態の進行度が関与していると考えられた。
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