研究課題
I:放射性および抗がん剤耐性をもたらすと考えられる低酸素環境発現因子(CA9)阻害剤によるin vitro治療効果の検証。昨年度までの結果から低酸素耐性株からCA9のmRNA遺伝子が、最も増幅されていたことから、CA9阻害剤を用いて、in vitroで、抗腫瘍効果および組織サンプルにおける免疫染色を検討。低酸素環境下でドキソルビシンおよびCA9併用では、通常酸素下に比べ、併用による抗腫瘍効果が見られ、薬剤耐性下における抗腫瘍効果の増幅が認められた。また、CA9阻害剤は、腫瘍細胞移動能を抑制した。骨肉腫生検サンプルにおけるCA9の発現と予後をさらに検証。CA9の発現は、予後に関係し、高発現群で、予後不良となる結果で、抗がん剤治療前のCA9の発現は、抗がん剤耐性指数(Rosen&Huvos grade)に相関し、高発現群では、従来の抗癌剤耐性を示した。以上の結果は、CA9の発現が、予後を規定するBiomakerとなり得ることが示唆された。II:CA9阻害剤併用によるAO腫瘍細胞集積増幅効果の確認と放射線効果増幅効果の検討実験計画で予定したアクリジンオレンジの集積増幅効果が、抗がん剤効果増幅作用の認められたCA9阻害剤を併用することで、認められるかどうかを検討した。まず、アクリジンオレンジにCA9阻害剤を結合したが、CA9が膜表面タンパクであるためか、AOの細胞内移行が起こらず、CA9阻害剤とAO結合新薬では、殺細胞効果が得られなかった。CA9阻害剤により、細胞浸潤が有意に抑制され、骨肉腫および軟骨肉腫患者血清では、CA9は高値であり、CA9が転移、浸潤に寄与していること、CA9阻害剤が、それら転移、浸潤を抑制する可能性があることが明らかとなった。しかしCA9阻害剤処理後にAOを投与したが、CA9阻害剤処理の有無ではFacs-scanで定量できるほどのAO集積に有意差はなかった。
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