研究課題
明細胞肉腫は若年成人の四肢に好発する稀な悪性軟部腫瘍である。明細胞肉腫は、化学療法あるいは放射線治療に抵抗性であるため、治療は手術による全切除が基本である。しかし、再発・転移を来した症例、特に肺に転移した症例では、手術不能である場合が多く有効な治療方法は無い。このような現状で、我々は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が明細胞肉腫の治療に有効であることをヒト由来の明細胞肉腫細胞株を四肢に移植した担がん動物モデルを用いて報告してきた。そこで、さらに明細胞肉腫の肺転移に対するBNCTの効果を調べる目的にて、新たに明細胞肉腫をヌードマウスの肺に移植した肺転移動物モデルを作成してBNCTによる抗腫瘍効果を調べた。すると、肺転移についても、BNCTによる全肺照射にて明細胞肉腫の肺転移部のみが選択的に腫瘍細胞が死滅することが明らかとなり論文にて報告した。また、胸部の上縦隔に生じた悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)については、2症例に対して既にBNCTが施行されており、肺転移へのBNCTによる治療の可能性を探る目的にて検討した。すると、上縦隔においてもBNCTによる抗腫瘍効果を認め、さらに新たに作成したMPNST担がん動物モデルにてもBNCTの抗腫瘍効果が確認され論文にて報告した。以上より肺転移の臨床例でもBNCTによる抗腫瘍効果が期待され、今後の臨床研究による更なる検討が必要である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Appl Radiat Isot.
巻: 106 ページ: 220-225
10.1016/j.apradiso.2015.07.059.
巻: 106 ページ: 195-201
10.1016/j.apradiso.2015.07.060.
KURRI Progress Report 2014
巻: - ページ: 88-88
日整会誌
巻: 89 ページ: 504-513