研究課題
本研究は前臨床試験である「偽関節患者に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生療法に関する第1/2相臨床試験」における課題を克服すべく、1)細胞内アダプター蛋白であるLnk抑制、2)新たな体外増幅法の確立、によるCD34陽性細胞数獲得の可能性を探索すべく前臨床試験的に実験を行うことを目的としていた。まず、1)に関しては、「骨折部局所における骨芽細胞・EPCのLnkを制御し、骨新生・血管新生を亢進させることで早期に骨折治癒が得られる」という仮説を、マウス骨折モデルを作成し、Lnk siRNAを含有させたAteloGene(アテロコラーゲンゲル)を局所に投与し、Lnkを抑制させ、血管新生・骨新生の評価ならびにX線、CT、組織、力学的に骨折治癒能を評価し、その有効性を証明した。次に2)に関しては、「ヒト骨髄由来CD34陽性細胞の有効な培養増幅法を確立させ、培養増幅させた細胞移植治療は従来法に比較して有用である」という仮説を、EPC培養で確立されている成長因子(VEGF,SCF,IL-6,Flt-3lig,TPO)添加幹細胞用培地の骨芽細胞への効果を確認し、約20倍の増幅率およびCD34陽性率も60%を維持していることが症例数を重ねることで再確認できた。また、免疫不全ラット難治性骨折モデルを作成し、増幅させたヒト骨髄由来CD34陽性細胞を局所移植し、増幅させない細胞移植と比較し、血管新生・骨新生の評価ならびにX線、CT、組織、力学的に骨折治癒能を評価し、その有効性を確認した。最終年度には、SDF-1/CXCR4 pathwayを介した血管内皮前駆細胞の骨折治癒への貢献を示唆する知見、ヒト単核球細胞に比較したCD34陽性細胞移植の有用性をラット偽関節モデルにて証明した。これらの成果をもとに最終年度においては、現在開始目前である「偽関節患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞による骨・血管再生療法の多施設医師主導治験」のプロトコル作成に貢献した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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