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2013 年度 実施状況報告書

バイオフィルム形成に影響する人工生体材料因子と環境因子

研究課題

研究課題/領域番号 25462340
研究機関長崎大学

研究代表者

依田 周  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40646775)

研究分担者 尾崎 誠  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20380959)
小関 弘展  長崎大学, 大学病院, 助教 (70457571)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードバイオフィルム
研究概要

バイオフィルムは,細菌が生体人工材料表面に付着-増殖することによって形成され,インプラント関連感染症を惹起し,抗菌剤による治療を難治化させる。バイオフィルム形成には,病原菌の種類や菌株,蛋白などの環境因子が影響するが,母床となる材料の種類によっても差がある。我々は,臨床で生体硬性人工材料として使用されているコバルトクロム,チタン合金,純チタン表面での表皮ブドウ球菌のバイオフィルム形成能をin vitroで評価した。Staphylococcus epidermidis (ATCC35984)の菌液内に試験片を3分間浸漬し,リンス後に新鮮な培地で培養した(培養時間:2~6時間)。試験片の表面にできたバイオフィルムをエタノール固定し,crystal violetで染色してデジタル実体顕微鏡で撮影した。任意9カ所の画像からバイオフィルム占拠率(BCR)を算出し,材料の種類と培養時間で比較検討した。2時間培養後,コバルトクロムのBCRはチタン合金と純チタンよりも低かった。これには,表面粗さ(コバルトクロム: Ra=2.3nm,チタン合金: Ra=17.2nm,純チタン: Ra=22.0nm)の影響が示唆された。培養後4時間~6時間経過すると,全ての材料上のBCR値は上昇して近似したが,コバルトクロムのBCR値は2~6時間を通して最も低く,バイオフィルムが形成しにくい傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H25年度の計画として、①臨床で使用される生体材料間の細菌付着能を比較する。②細菌付着性に影響する因子を特定する。③特定された因子を標準化した上で,他の因子について分析を進める。と言う内容であった。細菌の付着からバイオフィルム形成初期の観察はできており、段階的に学会発表もしているため。

今後の研究の推進方策

H26年度の計画にあげている①バイオフィルム形成に関する検討。②他菌株(黄色ブドウ球菌,緑膿菌,及び耐性菌での評価を更に進めていく。①に関しては概要でも述べたような内容までは解明できているため、今後はより詳細な機序について検討を加えていく。既に他の菌株についても着手しており、随時発表していく所存である。

次年度の研究費の使用計画

使用している金属基板自体の費用と表面の粗さを可能な限り平滑にするための加工処理費用、および表面の物理学的特性評価に対しての諸経費が当初の計画よりも進んだため。
実験が計画よりもスムーズに進行したための出費であり、今後も順次段階を踏んで進めていく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] チタン系人工材料の表面粗さと表皮ブドウ球菌付着量の関係2014

    • 著者名/発表者名
      志田崇之,小関弘展,依田 周,堀内英彦,迫田秀行,尾﨑 誠
    • 雑誌名

      日本骨・関節感染症学会誌

      巻: Vol.27 ページ: p91-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生体人工材料表面におけるバイオフィルム形成2013

    • 著者名/発表者名
      小関弘展,志田崇之,依田 周,堀内英彦,迫田秀行,尾﨑 誠
    • 雑誌名

      関節外科(基礎と臨床)

      巻: Vol.32 (No.1) ページ: p101-105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adherence ability of Staphylococcus epidermidis on Prosthetic Biomaterials: an in vitro study2013

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Shida, Hironobu Koseki, Itaru Yoda, Hidehiko Horiuchi, Hideyuki Sakoda, Makoto Osaki
    • 雑誌名

      International Journal of Nanomedicine

      巻: 2013:8 ページ: 3955-3961

    • DOI

      10.2147/IJN.S51994

    • 査読あり
  • [学会発表] チタン系金属生体人工材料の表面粗さと表皮ブドウ球菌付着量の関係

    • 著者名/発表者名
      志田崇之, 小関弘展, 依田 周, 堀内英彦, 尾﨑 誠
    • 学会等名
      第36回,日本骨・関節感染症学会
    • 発表場所
      横浜市(パシフィコ横浜会議センター)
  • [学会発表] 表面酸化ジルコニウム合金への表皮ブドウ球菌付着性

    • 著者名/発表者名
      志田崇之, 小関弘展, 依田 周, 堀内英彦, 尾﨑 誠
    • 学会等名
      第28回,日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      千葉県美浜区中瀬(幕張メッセ)
  • [学会発表] 生体金属材料への表皮ブドウ球菌の付着: an in vitro study

    • 著者名/発表者名
      小関弘展,志田崇之,依田 周,堀内英彦,尾﨑 誠
    • 学会等名
      第3回,膝関節手術生体材料研究会
    • 発表場所
      熊本市(リバーサイドホテル熊本)
    • 招待講演
  • [学会発表] 生体金属材料表面への表皮ブドウ球菌の付着量比較

    • 著者名/発表者名
      志田崇之, 小関弘展, 依田 周, 堀内英彦, 尾﨑 誠
    • 学会等名
      第41回,日本関節病学会
    • 発表場所
      名古屋市(愛知県産業労働センターウインクあいち)
  • [学会発表] 表皮ブドウ球菌付着に影響する表面粗さの最小限界域

    • 著者名/発表者名
      依田 周, 小関弘展, 志田崇之, 堀内英彦, 迫田秀行, 尾﨑 誠
    • 学会等名
      第38回,長崎感染症研究会
    • 発表場所
      長崎市(長崎大学医学部良順会館)
  • [学会発表] 表皮ブドウ球菌バイオフィルム形成に対する固体表面自由エネルギーの影響

    • 著者名/発表者名
      小関弘展, 志田崇之, 依田 周, 堀内英彦, 迫田秀行, 森永芳智,栁原克紀,尾﨑 誠
    • 学会等名
      第38回,長崎感染症研究会
    • 発表場所
      長崎市(長崎大学医学部良順会館)

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公開日: 2015-05-28  

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