研究課題
バイオフィルムは,細菌が生体人工材料表面に付着-増殖することによって形成され,インプラント関連感染症を惹起し,抗菌剤による治療を難治化させる。バイオフィルム形成には,病原菌の種類や菌株,蛋白などの環境因子が影響するが,母床となる材料の種類によっても差がある。本研究では,臨床で生体硬性人工材料として使用されているコバルトクロム,チタン合金,純チタン表面での表皮ブドウ球菌のバイオフィルム形成能をin vitroで評価した。Staphylococcus epidermidis (ATCC35984)の菌液内に試験片を3分間浸漬し,リンス後に新鮮な培地で培養した(培養時間:2~6時間)。試験片の表面にできたバイオフィルムをエタノール固定し,crystal violetで染色してデジタル実体顕微鏡で撮影した。任意9カ所の画像からバイオフィルム占拠率(BCR)を算出し,材料の種類と培養時間で比較検討した。2時間培養後,コバルトクロムのBCRはチタン合金と純チタンよりも低かった。これには,表面粗さ(コバルトクロム: Ra=2.3nm,チタン合金: Ra=17.2nm,純チタン: Ra=22.0nm)の影響が示唆された。培養後4時間~6時間経過すると,全ての材料上のBCR値は上昇して近似したが,コバルトクロムのBCR値は2~6時間を通して最も低く,バイオフィルムが形成しにくい傾向が認められた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 6件)
BioMed research international
巻: 2015 ページ: 8
doi:10.1155/2015/943056
Acta Medica Nagasakiensia,
巻: 59(3) ページ: 99-102
http://doi.org/10.11343/amn.59.99