研究課題/領域番号 |
25462345
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 耕太 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50404629)
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研究分担者 |
鈴木 大輔 札幌医科大学, 生体工学・運動器治療開発講座, 研究員 (40372817)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生体工学 / 未固定凍結人体標本 / 距骨下関節 / 関節安定性 |
研究概要 |
本プロジェクトでは、ロボット工学を応用した三次元力学試験機により未固定凍結人体標本を用いた距骨下関節の生体力学的特性を研究することが目的である。平成25年度は実験系の開発を主な活動とした。実験を行うにあたり、標本の準備や計測機器への固定方法、標本にかける荷重量やその方向などを決定する必要がある。このために計測機器の開発者である首都大学東京と会議を行った。またそれをもとに予備実験を行った。関節にはせん断力やトルクをかけ、その際の関節変位量を測定した。その結果、骨を強固に計測機器に固定するためには、金属スクリューやピンなどを用いるなどの工夫が必要であることがわかった。 またこの領域の最新の情報や意見交換を目的に、学会参加を行った。国内ばかりでなく海外の学会(Orthopaedic Reseach Society, USA、2014年3月)でもこの実験系に関する発表を行った。発表時にはこの分野で著名なドクターからの質問も得て、有意義なディスカッションをする機会を得た。距骨下関節はいまだ生体工学的研究が進んでいない分野であることを再認識した。関節安定性や靭帯の機能を解明することは、受傷機転やその予防、治療への貢献が期待できるという思いを新たにした。 本計測器を用いた足関節-距骨下関節複合体の生体工学的研究についての論文作成を行った。本論文では足関節と距骨下関節を一体として研究したデータを扱っている。英文雑誌に投稿し、広く成果を公表するととともに意見も得られることを期待している。 今年度を振り返って、関節の機能や性質を解明することも重要であるが、それらの結果からより有効な治療方法を開発することが望まれることを感じている。そのためこのことを最大の目標にして、研究を進めていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は実験系の開発を主な活動とした。予備実験や工学者とのディスカッションにより大まかな実験系は確立した。また研究テーマを取り巻く新しい情報や臨床的問題点も入手しえた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は実際のデータ採取が目的となる。予備実験にはさらに数体の標本が必要である。本実験系では、実験が進展してからの実験条件の変更は難しい。貴重な献体を無駄にしない為にも、この予備実験や実験系の確立は慎重に行う。また臨床的意義を考慮し、新しい治療法の開発を視野に入れた研究を進めることを方針とする。実験場所は札幌医科大学とし、首都大学東京のスタッフに来ていただくことで実験を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画ではロボット三次元力学試験機の部品更新、ソフトウエア更新などに費用がかかると考え予算を設定した。平成25年度は予想ほどのシステム更新は必要がなく、実験が行えたため予算と決算に差額が生じて次年度使用額が発生した。 予備実験やデータ収集実験には標本準備や計測機器への固定のための物品が必要となる。今後実験回数を重ねる予定であるので予算が必要である。またロボット三次元力学試験機のシステム更新は必要になると考えている。さらに学会参加、英文校正を含む論文作成費用を想定している。
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