腱板断裂は代表的な肩関節疾患の一つであり、疼痛や可動域制限により日常生活動作に支障をきたすことが多い。保存療法で症状が改善しない場合には手術療法である腱板修復術が行われるが再断裂による成績不良例が散見される。再断裂はしばしば腱骨接合部で生じるため、成績不良例を減らすには、腱骨接合部の良好な再生が重要であり、その再生メカニズムを解明する必要がある。腱板修復過程では肩峰下滑液包由来細胞と骨髄由来細胞が重要な役割を果たしていると考えられ、母床を海綿骨化させることは骨髄から間葉系細胞や成長因子の放出を促し、腱骨接合部の修復を促進する可能性がある。 本研究の目的は、骨髄・血液由来および腱板由来間葉系細胞を容易に追跡可能なGFP骨髄キメララットの肩腱板修復モデルを用いて、肩腱-骨接合部に骨髄由来細胞を誘導し、腱-骨接合部での骨髄由来細胞の動態および分化過程を明らかにすることである。 平成27年度は,G、P骨髄キメララットに対して腱板修復のみ行った群、上腕骨大結節に穿孔を加えた群および上腕骨大結節に軟骨掻爬を加えた群の3群の検体数を追加し共焦点レーザー顕微鏡で再度組織学的な検討を行った。上腕骨大結節に穿孔を加えた群と上腕骨大結節に軟骨層を加えた群では腱骨接合部においてGFP陽性細胞を認めたが腱板修復のみを行った群ではGFP陽性細胞をほとんど認めなかった.穿孔を加えた群では隣接切片をサフラニンO染色でメタクロマジーを認めた場所と一致してGFP陽性細胞を認めた。
|