研究課題/領域番号 |
25462350
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
寺井 秀富 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20382046)
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研究分担者 |
堂園 将 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10618945)
豊田 宏光 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50514238)
中村 博亮 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60227931)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 転移性骨腫瘍 / 整形外科学 / 骨代謝 |
研究概要 |
(1)腫瘍細胞の継代と播種方法の確立: 日本白色家兎の大腿筋内でVX2 carcinomaを2-3週おきに継代し、腫瘍組織0.5 gを刻み、腫瘍組織をcollagenaseとDNaseを添加した培地上で18時間培養し、腫瘍細胞を回収・凍結保存することに成功した。腫瘍接種直前に解凍して、細胞カウントを行い20 million cell/mlに濃度調整を行い家兎骨内で再び腫瘍が増生することを確認できた。 (2)内固定と腫瘍接種:顎骨骨折用locking plate(Striker社)の7穴プレートを用いて腫瘍の接種を行う方法を確立した。具体的には径2mmのhigh-speed-drillでcortexを開窓した後5mmの深さまで21G針を外套として挿入し、Hamilton syringeを用いて腫瘍細胞を3×105 cell( 15μl)を注入した。腫瘍細胞が漏れないよう骨ろうで開窓部をsealingを行った。いずれの家兎内でも100%腫瘍が局所で定着すること、遠隔転移を起こすことが確認できた。 (3)生存期間と骨破壊の定量的評価: 家兎脛骨内に腫瘍を接種し、内固定を行った群、行わなかった群(Control)でその後の生存期間に違いが出ることが判明した。内固定群では腫瘍の増大が早く、骨破壊が対照群と比較して急速に進展することが証明された。 上記(1)~(3)が平成25年度の研究計画であったが、現在までにおおむね遂行でき方法論として確立しえた。HE染色は行ったが、TRAP染色、破骨細胞などの動態などは観察できておらず次年度以降の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむね計画した研究を実行し、手術手技が確立できたと考えるが、組織学的評価には至っていない。今後はHE染色 のみならず、TRAP染色など破骨細胞の動態について調査をすすめていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
動的ストレス制御が骨破壊過程へ及ぼす影響を免疫組織学的、分子生物学的に検証する。 両群において骨破壊が進んでいる部分と、骨破壊が起こっていない部分(前肢)から骨組織を採取し、固定群と非固定群での違いを骨形成/骨破壊に関わる転写因子を中心として免疫組織学的、分子生物学的に検証する。具体的には、腫瘍接種後3週時点で腫瘍接種部と明らかな転移が起こっていない前肢から骨組織を採取し、破骨細胞の活性化に関わる転写因子(RANK/RANKLなど)を中心に調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験計画として(1)腫瘍細胞の継代(2)動物実験モデルの確立(3)組織学的検討をかかげ、そのうち(1)(2)は実施できたが(3)の部分が途上である。(3)の実験系では生存期間の解析とは別系統の経時的な組織学的解析が必要となるため、それにかかる実験動物、染色関連の費用が未使用となっている。 経時的な動物実験モデルの作成に必要な家兎の購入と染色関連、破骨細胞動態研究(HE染色、TRAP染色、骨形態計測)に使用する予定である。(平成26年度の計画として計上されていないため)
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