研究課題
研究3年目においては前年度までに得られた解析に加え,詳細な解析を行うために剛性ベースのトポロジー最適化を行った.最適化においては最適性基準法を用い,モデル全体のひずみエネルギーを目的関数,体積を制約条件として解析した結果,三次元造形したチタン合金と樹脂を複合化するマクロへテロ構造において,生体骨に類似した不均一な力学特性を有する材料が実現されることが示された.また,解析結果から単純試験片を作成し力学試験を行った結果,解析と同様に生体骨のような不均一な力学特性を有した材料であることが確認された.そこで,前年度までに得られていた三次元CT画像における大腿骨を対象として,実際の人工股関節置換術と同様に大腿骨近位部の骨切りを行い,人工股関節ステムを設置するシミュレーションを行い,ステムにおいて構造最適化を行った.その結果,得られたステムの構造は非常に複雑な形状であり,ほぼ最大の主応力分布と一致していることが確認された.このステム形状をチタン合金で三次元造形することにより,人工股関節ステムを試作することに成功し,マクロへテロ構造を有する人工関節の設計および作成が可能となった.今後解析の精度向上やチタン合金骨格と樹脂複合化のための加工方法の改善は必要であるが,生体親和性を有するとともに,骨と同程度の弾性率を有することによりストレスシールディングが発生しにくい人工関節の実現が可能であることが示された.
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