研究課題
近年、癌克服へのパラダイムシフトを呼ぶものとして癌幹細胞が注目を集めている。類上皮肉腫は若年成人の四肢遠位部に結節・潰瘍として発生する極めて稀な悪性軟部腫瘍である。分化の方向については間葉系と上皮系の両方の性格を示し、その多彩性が示唆されている。化学療法や放射線治療には抵抗性で、現在の標準治療である手術単独では予後不良であり、新たな治療戦略が求められている。本研究は類上皮肉腫における肉腫幹細胞の同定・分離を試み、その性状解析から治療応用へと展開するための研究基盤を確立することを目的とする。本年度は、我々が過去において樹立した本腫瘍のFU-EPS-1株とSFT-8606株を用いて細胞表面マーカーの絞り込みを行った。その結果、FU-EPS-1株を用いることで、効率に類上皮肉腫幹細胞の濃縮が可能であると予想される結果が得られた。また、類上皮肉腫を含めた種々の骨軟部腫瘍の染色体・分子細胞遺伝学的異常の解析を行った。さらに、CA125が類上皮肉腫における有用な血清腫瘍マーカーであることを確認した。
3: やや遅れている
ヒト類上皮肉腫細胞株の樹立に関して遅れている。類上皮肉腫は極めて稀な悪性軟部腫瘍で、本年度では新たに1名のみの試料提供となったため。
今後の推進方策については免疫不全マウスを用いた実験の円滑な遂行が重要である。そのためには安定した肉腫幹細胞株の供給が大事であり、常に増殖能と分化能を検討した上でFU-EPS-1細胞の培養と分離を行っていく必要がある。また、平成26年度もGTG法を用いて染色体分析を行い、クローナルな染色体異常を同定する。構造的に極めて複雑な異常を示す場合には、SYY法とCGH法を用いて総合的なカリオタイピングを進める。
計上していた細胞培養試薬、細胞培養器具、実験器具などの消耗品費が節減できたため。研究経費は研究計画に述べた規模の研究を遂行するための消耗品費(細胞培養試薬・器具、分子生物学実験試薬)と得られた結果を学会にて報告するための旅費及び誌上発表するための掲載料として使用される。また、外注による染色体分析の委託費にも使用予定である。
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