研究課題
類上皮肉腫は若年成人の四肢遠位部に結節・潰瘍として発生するまれな悪性軟部腫瘍である。分化の方向については間葉系と上皮系の両方の性格を示し、その多彩性が示唆されている。化学療法や放射線治療には抵抗性で、現在の標準治療である手術単独では予後不良であり、新たな治療戦略が求められている。本研究は悪性軟部腫瘍の中でも最も多分化能を有する類上皮肉腫に注目し、類上皮肉腫における肉腫幹細胞の同定・分離を試み、その性状解析から治療応用へと展開するための研究基盤を確立することを目的とする。前年に引き続き、ヒト細胞株を用いた解析を行った。我々が樹立した本腫瘍のFU-EPS-1細胞株において幹細胞の分離が可能であると予想される結果が得られた。本研究で得られた成果は、肉腫幹細胞を標的とした薬剤開発を通じて、我が国発の革新的な類上皮肉腫治療法の創出につながるものと思われた。また、CA125は類上皮肉腫の病勢をよく反映していることから、有用な腫瘍血清マーカーとなりうると考えられた。種々の軟部腫瘍に対して染色体分析と分子細胞遺伝学的解析を行った。その結果、世界で初めてグロムス腫瘍における染色体転座t(1;5)(p13;q32)を報告した。この染色体異常がグロムス腫瘍の発生に関与していると考えられた。また、脂肪性腫瘍において12番染色体(特に12q13-15)の重複が組織学的異型と関連している可能性が示唆された。癌遺伝子である非受容体チロシンキナーゼのSRCの活性化が種々の脂肪肉腫(特に粘液型脂肪肉腫と多形型脂肪肉腫)の進展に重要な役割を果たしていることを見出した。そのため、脂肪肉腫の治療薬としてSRC阻害薬が有効であることが示唆された。
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