研究課題/領域番号 |
25462356
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
瀧口 総一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (00280793)
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研究分担者 |
井口 東郎 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (90393438)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨転移 / 癌転移関連因子 / ケモカイン / 足場非依存性増殖 / 走化性 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、癌骨転移を決定する新規因子を探索し、そのメカニズムを解明し、創薬、臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することである。そのためにヒト肺扁平上皮癌細胞株 (HARA)を用いて、ヌードマウス骨転移モデルによるin vivo 選択を行い、高骨転移クローン(HARA-B4)を樹立した。次に、親株(HARA)との遺伝子発現プロファイルの変動を網羅的に検討した結果、HARA-B4で発現量が増加していた遺伝子群にPTHrP、MMP2など骨転移性との関連が既知の遺伝子群に加えて、新規のサイトカイン・ケモカイン遺伝子群が存在した。それらのうちケモカインCXCL14は、癌細胞での発現と癌悪性度の指標である足場非依存性増殖能との相関性が観察された。また、骨芽細胞や破骨細胞が癌細胞へと向かう走化性において、癌細胞で発現するCXCL14に促進効果があることが観察された。更に、マウス骨転移モデルを用いた解析により、CXCL14の発現をノックダウンしたHARA-B4細胞を使用した場合、対照群と比較して骨転移数の減少が見られた。また、ヒト肺癌の臨床検体において骨転移細胞および間質細胞におけるCXCL14の高発現が複数例で観察された。以上よりCXCL14のヒト肺癌での発現上昇は、骨転移性において増悪の方向に作用していることが予想された。そのメカニズムとして、骨芽細胞および破骨細胞が癌細胞へと向かう走化性を上昇させるによる前転移ニッチの形成、および癌細胞の足場非依存性増殖能の上昇が考えられた。従って、CXCL14はヒト肺癌の骨転移の進行において重要な役割を果たしており、分子標的治療薬の標的分子の候補と考えられる。
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