研究課題/領域番号 |
25462361
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
古賀 大介 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60422482)
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研究分担者 |
麻生 義則 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50345279)
辻 邦和 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20323694)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / ポリフェノール / 脂質代謝 / 軟骨代謝 |
研究概要 |
[背景] 肥満は変形性関節症(OA)の危険因子だが、その病態は不明な点が多い。OA患者より摘出された膝蓋下脂肪体(IPFP)において炎症性サイトカインやアディポカインの産生亢進が確認されている。本研究ではHFD給餌中にGSEを経口投与しOAに対する予防効果を検証した。[方法]C57BL/6Jマウス(オス、n=10)に7週齢時より、HFD(脂肪含有率32%、日本クレア)あるいは通常食(ND、脂肪含有率4.6%、日本クレア)の給餌を開始した。GSE投与群と溶媒投与群に分類した。GSEはゾンデにより連日実施され、投与量は100mg/kg、あるいは1000mg/kgとされた。HFD給餌開始後12週にて膝関節を採取し、脱灰後、膝関節にて矢状方向の連続切片を作成し組織学的評価を行った。膝蓋下脂肪体(IPFP)と内臓脂肪採取し、qPCR法にてmRNA発現解析を行った。μCTにて大腿骨骨密度を測定した。[結果]マウスの体重は、HFDによって増加した。GSE100mg/kg投与では体重に影響は認めらなかったが、同1000mg/kg投与によって体重は減少した。骨密度測定ではGSE投与による一定の効果は認められなかった。qPCR法による膝蓋下脂肪体の評価ではGSE投与において炎症性サイトカインの発現が抑制されていた。内臓脂肪では反対にGSE投与群において炎症性サイトカインの発現が亢進していた。膝関節の組織学的解析では、HFDにより骨棘形成と、変形性膝関節症の進行に伴って生じる軟骨下骨肥厚が認められた。1000mg/kg投与群において骨棘形成が抑制されていた。100mg/kg投与群、1000mg/kg投与群のいずれにおいても、軟骨下骨肥厚が抑制されていた。[考察] GSEはHFDによって惹起される変形性膝関節症を抑制する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GSEはHFDによって惹起される変形性膝関節症を抑制する可能性が示唆された。 今回はGSE投与により今回の実験ではゾンデによるGSEあるいは溶媒の経口投与を行ったが、これがマウス生体にストレスを与え、骨密度や内臓脂肪の炎症に影響を与えた可能性が考えられる。飲水投与など、マウスにストレスを与えない投与法による再実験が望まれる。現在、組織解析結果の定量化、uCTによる軟骨下骨の定量、免疫染色やTUNEL染色による変形性膝関節症進行の解析などが行われている。
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今後の研究の推進方策 |
1. より低侵襲なGSE投与法により、HFDOAモデルに対するGSE投与効果を検証する。 2. 以上の研究により、メタボリックシンドロームに伴う骨代謝異常、変形性膝関節症の治療効果、あるいは予防効果を有するサプリメントの商品化のために有用な知見を蓄積する。
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次年度の研究費の使用計画 |
事務手続きの都合上、次年度の計上となったため。 消耗品として次年度計上としてすでに使用した。
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