研究課題
変形性関節症(OA)は関節軟骨が変性し摩耗する疾患であるが、その発症メカニズムは十分に解明されていない。ヒトにおいて、肥満は変形性関節症の重要な危険因子のひとつであるが、非荷重関節においても関節症変化が促進されることより(Cicuttiniら 1996年、Oliveriaら 1999年)、体重負荷によるメカニカルストレス増加のみが関節軟骨変性の機序であるとは考えにくい。現在OAに対する薬理的な治療方法の手段は限られており、経口摂取可能で根治的治療効果を有する治療薬が待望される。本研究では、ブドウ種子やトマト果皮に含有されるポリフェノール類の軟骨代謝に対する薬理作用を明らかとして、メタボリックシンドロームの一貫として位置づけられる、OAの発生、進行を制御し、国民のADL向上に寄与することを目的とした。我々はキッコーマン社との共同研究により、軟骨代謝に対するプロシアニジンB3の効果を、培養細胞およびマウス外傷性変形性膝関節症モデルを用いて検証した。その結果、プロシアニジンB3は酸化ストレス抑制に伴い軟骨保護作用と異所性骨化予防効果を示した。この実験結果から派生して、高脂肪食負荷による変形性膝関節症モデルにアントシアニジンを投与し、その薬理効果を検証した。この過程で、アントシアニジンを投与したマウスの骨組織を解析したところ、アントシアニジン投与群において海面骨量が増加していた。元来、アントシアニジンは腸管からの吸収効率が極めて低いため、経口投与されたアントシアニジンが小腸から吸収され、門脈を経て末梢臓器に至るという経路は想定しにくい。これらの結果から、我々は、経口投与されたアントシアニジンが腸内細菌叢に影響を与えるという仮説を立て、糞便解析を行った。その結果、アントシアニジン投与によって、腸内細菌フローラに影響があることが明らかとなった。この研究結果は、現在特許申請準備中である。
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