研究課題
昨年、CNTによる骨再生における骨芽細胞への影響は分化の促進による影響より、骨芽細胞の増殖性亢進による影響の方が強く、かつ、分散剤であるCMCとの複合体としての効果であることを明らかにした。この分散剤の影響を除くためには疎水性の強いCNTを粉末のまま水系のin vitro実験を行う事は不可能であるため、CNTだけで固めて板状の立体構造のブロック体(CNTブロック)を作製し、その生物学的特性有効性を評価した。このCNT ブロック上ではマウスMC3T3-E1前骨芽細胞の接着性と増殖性はカバーガラスと同等であった。また、このCNT ブロックにrhBMP-2を添加した上でマウス背筋に埋植した場合、ブロックに密着した骨形成は認められたものの、その骨量は骨再生の足場材として臨床に用いられているコラーゲンシートと同等であった。これらの結果はCNT単独で、かつ、繊維状でない場合、骨形成能・分化能に直接の影響を与えない事を示しており、間接的にCNTの骨芽細胞の石灰化促進メカニズムは分散剤などでCNTが細胞に取り込まれない状態で細胞増殖促進のシグナルを刺激して起こることが明らかとなった。また、初年度の報告で記載したアスコルビン酸(VC)の影響は、MC3T3-E1細胞でやはり通常のVC入りのαMEM培地とVCの入っていない培地で培養後のVCとβ-グリセロリン酸による石灰化処理での反応性は全く異なった。さらに骨芽細胞採取時にαMEMではなくVCの入っていないDMEM培地で採取されたラット頭蓋冠骨芽細胞を購入し、VC入りのαMEM培地に変えた時とDMEM培地での石灰化処理後の分化マーカー変化を確認したところ、αMEMでは石灰化による分化マーカーへの影響はほとんどなく、αMEMで培養した段階で、VCの影響がスタートしていることが示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
Int J Mol Sci.
巻: 16 ページ: 40-48.
10.3390/ijms16010040.