我々は、B cell antigen receptor (BCR) シグナル伝達系の構成タンパクであるBruton’s tyrosine kinase(Btk)について、骨芽細胞や間葉系細胞における発現とその機能について解析し、論文報告をおこなった。これに引き続き、Mitogen-activated protein kinase kinase 5 (MEK5)シグナルの骨芽細胞分化への影響を検討した。MEK5阻害剤は、骨芽細胞の分化を促進(骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ、オステオカルシンmRNA発現の亢進と細胞外基質石灰化促進)することを見出した。また、阻害剤の効果を確認するためにMEK5のRNAiによるノックダウン実験を行い、MEK5ノックダウンによっても骨芽細胞分化促進を確認、これらの論文報告をおこなった。また、一方、炎症性サイトカインとして知られているインターロイキン6(IL-6) の骨芽細胞分化におけるシグナル伝達の解析中に見出したMEK1およびMEK2の骨芽細胞分化への機能の違いについて新たに検討をおこなった。これらのシグナル伝達系タンパクは細胞増殖に加え、免疫などの様々なシグナル伝達に関与しているとされる。我々の検討において、MEK2の抑制は骨芽細胞分化の促進に働くが、MEK1抑制は骨芽細胞分化への影響が少ないという予備実験での結果が得られた。これら結果をもとに学会報告をおこないつつあり、また論文投稿の準備中である。
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