研究課題/領域番号 |
25462373
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本村 悟朗 九州大学, 大学病院, 助教 (50529857)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腿骨頭壊死 / 骨頭圧潰 / SPECT/CT |
研究概要 |
特発性大腿骨頭壊死症において、骨頭圧潰は予後に重大な影響を与えるが、圧潰のメカニズムは未だ不明である。我々は、荷重負荷の大きな骨頭分界部外側端における骨壊死修復反応が骨頭圧潰発生に重要であるという観点の元、特に同部における骨形成が圧潰に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を行っている。 骨頭圧潰のメカニズムを探るためには、圧潰前の骨頭における病理組織学的検索が理想であるが、症状がない患者の骨頭標本を得ることは倫理的に不可能であるため、これまでの多くの研究では圧潰後の骨頭を検索してきた。本研究では、核医学の機能・代謝画像とCTの解剖学的位置・形態情報を位置ずれなく同時に表示することができるSPECT/CTを用いて、圧潰前の骨頭を含む早期壊死骨頭における骨芽細胞の活動度を評価した。骨SPECT/CT融合画像における骨頭内の最大カウント値をとる部位を同定し、最大カウント値を小転子遠位端高位の骨幹部Axial断面の平均カウント値で除した比(カウント比)でuptakeの程度を評価した。Stage 1では骨頭前方に最大カウント値を示す傾向にあった(11/12股)。一方、Stage 2および3Aでは骨頭外方に最大カウント値を認める傾向にあった(5/6股、5/5股)。また、Stage2骨頭ではStage1骨頭と比べて統計学的有意に高いカウント比を呈していた。以上より、壊死発生から骨頭圧潰前までの早期において、骨芽細胞活性は次第に増強し、その最大活性の場は骨頭前方から外側へとshiftすることが示唆された。 本研究結果は骨頭圧潰のメカニズムを明らかにする上で基盤となる重要なものであり、世界最大の放射線学会である北米放射線学会(RSNA)に採択され発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究成果は、世界最大の放射線学会であるThe 99th Radiological Society of North America(RSNA)に採択・発表した。また、研究結果を英文論文としてまとめ、核医学系の代表的な英文誌の1つであるNuclear Medicine Communicationsに投稿した。新規性が高いことを評価され、現在revise投稿中である。以上より、概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
SPECT/CTを用いた研究は予定通りに進行し、現在は骨頭壊死同様に骨頭圧潰を来す大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折との鑑別に関して検討中である。今後は、臨床検体(手術時の切除骨頭)を用いて骨頭分界部にかかる応力を検討し、分界部外側端における応力分布と圧潰メカニズムとの関連を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費としてあげていた、データ管理用ノートパソコンおよび画像データ保存用ハードディスクをまだ購入していないため。 また、臨床検体を用いた研究で使用する免疫組織染色用試薬などの消耗品を購入していないため。 予定通り、データ管理用ノートパソコンと画像データ保存用ハードディスクを購入予定。 また、次年度より臨床検体を用いた研究を開始予定であり、その際には必要となる試薬等を購入する予定である。
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