本研究課題では、荷重負荷の大きな壊死骨頭分界部外側端における骨壊死修復反応が圧潰発生に重要であるという観点の元、早期壊死骨頭における骨芽細胞の活動度を評価した。骨SPECT/CT融合画像における骨頭内の最大カウント値をとる部位を同定し、最大カウント値をreference領域のカウント値で除したカウント比でテクネシウムの集積を評価した。Stage1では骨頭前方に最大カウント値を示す傾向にあり、Stageが進むにつれて骨頭外方に最大カウント値を示す傾向にあった。また、Stage2骨頭ではStage1骨頭と比べて有意に高いカウント比を呈していた。以上より、壊死発生から骨頭圧潰前までの早期において、骨芽細胞活性は次第に増強し、その最大活性の場は骨頭前方から外側へと移動することが示唆された。本研究結果をまとめた論文は、核医学英文誌であるNuclear Medicine Communicationsに掲載された(2014)。 近年、大腿骨頭壊死同様に骨頭圧潰をきたす疾患として、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折という病態が知られるようになってきた。同骨折は、病期や骨折の程度によっては保存的に治癒する可能性があり、鑑別診断が重要とされている。本研究課題では、骨壊死と骨折という全く異なる病態を反映しうる診断ツールとしてSPECT/CTに着目して有用性を評価した。圧潰後の大腿骨頭壊死症におけるSPECT/CT像は、壊死部である無集積領域の周囲に旺盛な修復反応を反映した高集積領域が取り囲む特徴的な像を呈した。一方、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折のSPECT/CTでは骨頭圧潰部を中心に高集積を呈した。以上より、SPECT/CTは両者の鑑別の一助となる可能性が示唆された。本研究結果をまとめた論文は、核医学英文誌であるClinical Nuclear Medicineに掲載された(2015)。
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