対象は沖縄県内の老人保健施設において、2010年から2014年の間に新規入所した後期高齢者(75 歳以上)1930例(平均年齢87.6歳、性別;男449例、女1481例)とした。入所後に大腿骨近位部骨折を受傷したのは66例3.4%(平均年齢87.6歳、男性2例、女性64例)であった。カルテから、骨折発生と関連が疑われる因子(月別発生数、介護度、障害高齢者の自立度、認知症高齢者の自立度、日常生活自立度、Barthel index、対側の大腿骨近位部骨折既往)と骨折発生との関連を調査した。月別発生数に関しては、四半期に分割し、モンテカルロ法を用いて、有意性検定を行った。その他の項目に関してはピアソン相関係数を算出し、有意性検定を行った。 月別発生数では7~8月に骨折発生が多くみられた(P=0.0403)。比較的介護度の低い介護度1および2で骨折発生のリスクが有意に高かった(P=0.0102)。障害高齢者の自立度では比較的自立度が高いランクJおよびAで骨折発生リスクが有意に高かった(P=0.0266)。認知症高齢者の日常生活自立度では認知症が重度のランク3aおよび3bで骨折発生のリスクが高い傾向があった(P=0.1543)。比較的日常生活が自立しているBarthel index60以上で骨折発生リスクが有意に高かった(P=0.0020)。対側の大腿骨近位部骨折の既往がある方が骨折発生リスクが有意に高かった(P=0.0162)。
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