研究課題/領域番号 |
25462382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高田 伊知郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50361655)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 破骨細胞 / AP1 / PPARγ |
研究概要 |
AP1の構成因子c-FosとPPARγの間葉系幹細胞におけるクロストークを対象とした研究を行う計画であったが、実験に必要量のc-Fosノックアウトマウス作出が困難であったため、同じAP1ファミリーであるFra1の解析、及び新規PPARγ相互作用因子のノックアウトマウスの解析を中心に遂行した。 全身にFar1を強発現させたトランスジェニックマウスは骨量増加を示す事が以前から知られていたが、その分子作用機序は不明であった。そこで我々はテトラサイクリン誘導生Fra1トランスジェニックマウスを用いて、骨量増加のメカニズムの解明を行った。まずテトラサイクリン類似化合物ドキシサイクリン(DOX)を餌に混ぜて与え、骨量の増加を観察した所、10週齢前後のマウスであれば7から10日程度で有意な増加が観察される事を、μCT撮影で確認した。更にこれらサンプルから骨と骨髄に関しRNAを抽出後マイクロアレイを施行した結果、骨部分において骨増加に機能するシグナル分子や転写因子の発現上昇を認めた。 またPPARγに関しては、新規転写共役因子のノックアウト作出を中心に進める事とした。この遺伝子は免疫細胞や破骨細胞に高発現する事を見出しており、今後組織特異的なノックアウトマウスの作出や初代培養の系を用いた実験を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
c-Fosに関する実験材料の確保が困難であった事や平成26年4月日本大学医学部へ異動となった為、予定外の計画変更を余儀なくされたが、AP1ファミリーであるFra1の骨増加作用に関し、幾つか興味深いデータを得る事が出来た。またPPARγやRORγtに作用する新規転写共役因子のノックアウトマウスの飼育や作出も順調であり、これらのデータを組み合わせる事で、当初の計画よりも大きな成果が今後期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
間葉系幹細胞におけるクロストークの解析に関しては、日本大学医学部に異動した利点を生かし、PPARγ以外の核内レセプターやBMP2以外のシグナル分子に関しても研究対象を広げる。PPARγ、及びその他核内レセプターのリガンドと各種シグナル分子を間葉系幹細胞で刺激する事で、ChIPアッセイ等を行い、c-FosやFra1を含めたAP1ファミリーのシグナルがどの遺伝子に作用するのか検討を行う。 また新規核内レセプター転写共役因子のノックアウトマウスに関し、全身ノックアウトは胚胎生致死であったため、その原因を解析する事で、新たな分子基盤の解明に繋げる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
効果的な物品調達を達成できたことが、大きな理由である。実験は研究計画及び現状に基づいて行っており、特に問題はない。 今まで使用して来た骨髄由来とは異なる間葉系幹細胞の購入や培地、及び各種分子生物学関連実験(RNA抽出、ChIPアッセイ、ウェスタンブロッティング、免疫染色など)の遂行に使用する。
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