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2013 年度 実施状況報告書

人工関節置換術用HXLPE臼蓋厚がクリープ抵抗性に及ぼす影響:変形速度と分子構造

研究課題

研究課題/領域番号 25462383
研究機関東京医科大学

研究代表者

山本 謙吾  東京医科大学, 医学部, 教授 (10246316)

研究分担者 高橋 康仁  東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)
宍戸 孝明  東京医科大学, 医学部, 准教授 (70266500)
正岡 利紀  東京医科大学, 医学部, 講師 (70256270)
立岩 俊之  東京医科大学, 医学部, 助教 (00424630)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード人工股関節置換術 / ポリエチレン / 微細構造 / クリープ
研究概要

ハイリークロスリンクポリエチレン(Highly cross-linked polyethylene: HXLPE)は、人工股関節置換術(Total hip arthroplasty: THA)の摺動材として1990年代後半より世界中で最も頻繁に使用されてきた材料である。しかし、ポリエチレン摩耗粉発生により惹起されるインプラント周辺部の骨溶解が人工関節の長期耐用を制限する最も深刻な合併症の一つとして懸念されている。摩耗を加速させる主要因として以下の2項目が想定される;(1)ポリエチレンの酸化劣化(2)荷重時のクリープ変形。前者の酸化に対する懸念は、Vitamin E(VE, dl-α-tocopherol)などの抗酸化剤をHXLPEに混合或いは浸潤することにより大きく緩和された。しかし、抗酸化剤の添加方法の違いによるクリープ抵抗性への影響に関しては慎重な調査が必要となる。平成25年度より本研究では、VE混合型(PE架橋前にVE混合)および浸潤型(PE架橋後にVE浸潤)HXLPEの微細構造を分子配向、相分率(結晶化度、非結晶化度)の観点から共焦点偏光ラマン分光分析法を応用し、非破壊解析を実施してきた。VE混合型・浸潤型ともに約55%の結晶化度を有していたが、摺動面付近(表層約35 μm)では結晶化度の低下が認められ、特に混合型ではより低い値を呈していた。さらに両材料ともに表層と深層では分子配向度が異なることを確認し、これら微細構造の特徴は、製造時のマシニング処理が影響しているものと考えられた。両材料は、深部の分子配向は無秩序(等方性)であったが、表層は優先配向(異方性)を有していた。VE混合型では表層低配向、VE浸潤型では表層高配向であることを確認し、多方向運動である人工股関節摺動面では低配向性が摩耗率低減により有利であると考察される。平成26年度以降は、両材料に一軸圧縮ひずみを負荷し結晶化度の変化および分子配向の変遷を調査中である。さらに構造調査と並行して両材料の厚み別にクリープ速度を計測中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

未使用時サンプルの表層から深層にかけて、3次元分子配向および相分率の詳細な解析が終了している。また一軸圧縮ひずみを負荷した後の結晶化度の変化および分子配向の変遷に関して、ラマン分光計測はおおむね終了しており、現在解析中である。さらに構造調査と並行して両材料の厚み別にクリープ速度も計測中である。

今後の研究の推進方策

現在は、一軸圧縮ひずみ負荷後の微細構造に関してコンピュータ解析を実施している。さらに、サンプルの厚み別にクリープ速度を計測中である。データの信頼性向上を目的として、必要に応じて実験サンプル数を増やした追加試験を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じた理由は下記の2点が挙げられる;(1)最終年度の消耗品購入に多くの予算が必要になることが想定されるため;(2)国内外への学会参加を本事業実施の途中年度では控えているため (信頼性の高いまとまった研究成果として最終年度で国内外の学会で発表することを希望しているため)
レーザーや光学フィルターなどの高価な消耗品に使用する。
精力的に国内外の学会で本事業成果を発表する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Vitamin-E blended and infused highly cross-linked polyethylene for total hip arthroplasty: A comparison of three-dimensional crystalline morphology and strain recovery behavior2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuhito Takahashi, Toshinori Masaoka, Kengo Yamamoto, Takaaki Shishido, Toshiyuki Tateiwa, Kosuke Kubo, Giuseppe Pezzotti
    • 雑誌名

      Journal of the mechanical behavior of biomedical materials

      巻: 36 ページ: 59-70

    • DOI

      10.1016/j.jmbbm.2014.04.004

    • 査読あり
  • [学会発表] 人工関節手術及び関節摺動面の進歩について

    • 著者名/発表者名
      山本謙吾
    • 学会等名
      戸田中央総合病院 整形外科病診連携の会
    • 発表場所
      戸田市
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工関節摺動面の進歩―微細構造と特性―

    • 著者名/発表者名
      山本謙吾
    • 学会等名
      第42回 北陸リウマチ・関節研究会
    • 発表場所
      金沢
    • 招待講演
  • [学会発表] 長期耐用を目指したTHA摺動面の選択と留意点

    • 著者名/発表者名
      山本謙吾
    • 学会等名
      第48回 東海地区整形外科教育委員会
    • 発表場所
      名古屋
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工関節摺動面の問題点とその対策

    • 著者名/発表者名
      山本謙吾
    • 学会等名
      第11回 鹿児島 骨・関節フォーラム
    • 発表場所
      鹿児島
    • 招待講演
  • [学会発表] THA術後の問題点と対策

    • 著者名/発表者名
      山本謙吾
    • 学会等名
      東京医科大学整形外科OB会埼玉研修会
    • 発表場所
      埼玉
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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