研究課題/領域番号 |
25462385
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
前田 和洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50548849)
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研究分担者 |
齋藤 充 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50301528)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / Wnt / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
骨組織は生涯を通して形成と吸収が行われ、そのバランスを保つことで骨量が維持される。骨吸収を担う破骨細胞(OC)はマクロファージ由来の細胞である。骨形成を担う骨芽細胞に、骨吸収促進因子が作用すると破骨細胞分化因子RANKLが発現する。マクロファージには受容体RANKが発現しており、マクロファージは骨芽細胞膜上のRANKLを認識し、破骨細胞へと分化する。一方、骨芽細胞は破骨細胞分化抑制因子であるオステオプロテゲリン(OPG)も発現し、骨量維持の恒常性を保っている。本申請者は、受容体型チロシンキナーゼRor2によって活性化されるWnt非古典経路がRANKLにより誘導される破骨細胞分化を促進することを発見した。さらに、それを阻害することで新規骨代謝改善薬の可能性を報告してきた。今回、Wnt非古典経路を阻害する目的でRor2に対する中和抗体の作製を試みた。 Ror2を過剰発現するCHO細胞を大量に培養しタンパク質を回収し、抗体作製を試みたが計画通りにいかなかった。このため、方針を転換しWnt非古典経路を阻害する低分子化合物の探索を行った。マウス骨髄マクロファージに、M-CSFとRANKLで誘導する破骨細胞培養系へ、Wnt5aを添加すると破骨細胞分化が促進する。本培養系へ、Wnt非古典岐路を阻害する可能性のある候補化合物を各種添加した。その結果、ある分子を阻害する化合物Aは破骨細胞分化を仮説通り抑制した。しかし、意外なことに、同じ分子を阻害する化合物Bは、破骨細胞分化を促進した。なぜ、このような違いが生じたのか、現在調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は疾患モデルを用いた実験まで行う予定であったが、in vitroの実験データが詰め切れていないため、未だ行っていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞分化を抑えたある化合物は、この分野で報告の無い分子を標的としたものであるが、がんの分野では抗癌作用が報告されている。破骨細胞分化抑制作用があるのか、細胞毒性によるものなのかを慎重に評価していきたい。 また、今回の標的となっている分子には、いくつかのファミリーが存在する。低分子化合物が阻害する標的は、単一の分子ではなく、相同性の高い他の分子も阻害している可能性がある。ウェスタンブロット法などを用い、今回、見出した化合物の標的を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は疾患モデルを用いた実験まで行う予定であったが、in vitroの実験データが詰め切れていない。このため、in vivo実験を行っていない分が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
破骨細胞分化を抑えたある化合物は、この分野で報告の無い分子を標的としたものであるが、がんの分野では抗癌作用が報告されている。破骨細胞分化抑制作用があるのか、細胞毒性によるものなのかを慎重に評価していきたい。 また、今回の標的となっている分子には、いくつかのファミリーが存在する。低分子化合物が阻害する標的は、単一の分子ではなく、相同性の高い他の分子も阻害している可能性がある。ウェスタンブロット法などを用い、今回、見出した化合物の標的を明らかにしていきたい。
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