研究課題/領域番号 |
25462389
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
赤木 將男 近畿大学, 医学部, 教授 (00273441)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / レニン・アンジオテンシン系 / つくば高血圧マウス / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
1) 人工膝関節置換術時に摘出される変性骨軟骨組織のAT1R、AT2Rの免疫染色を行った.変性が比較的軽度で軟骨中層部分が残存している切片では、増殖肥大分化し、クローニングが観察される軟骨細胞において、AT1RとAT2Rの発現が確認された.しかし、症例や部位によって発現状況にばらつきを認めた.この理由として、AT1RとAT2Rの発現が比較的短期間に低下する可能性、早期に軟骨変性を進行させ軟骨組織の脱落を生じさせることが考えられた.骨・軟骨接続部においては、一部の標本において変性軟骨下層の血管侵入を受ける部位にて発現を認めた. 2) 9週令オスの野生型マウス、およびTHMをケージ内で自然飼育し、飼育開始後3ヶ月で頸椎脱臼法により6匹ずつ安楽死させる.両側膝関節を取り出し、ホルマリン固定後にEDTAで脱灰、サフラニンO染色、AT1R、AT2Rの免疫染色を行った.THMでは9週令から軟骨に軽度の変性が認められ、3ヶ月令ではそれが増悪した.野生型では軟骨の変性はほとんど認められなかった.AT1R、AT2Rの免疫染色ではTHMの軟骨変性部分の肥大軟骨細胞にAT2R優位の発現が認められた. 3) 9週令野生型マウス、およびTHMをトレッドミルにて2週間に1km強制的に走行させ、走行開始後2週、4週、6週、8週で6匹ずつ安楽死させ、組織染色を行い評価した.RASの活性化を生じた高血圧マウスにおいては、軟骨の変性が有意に進行しており、膝関節加わる機械的ストレスが変形性関節症のさらなる増悪因子として作用することが考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人における組織については安定した結果が得られなかった.これは、変形性膝関節症が非常に長期にわたって進行する疾患であるのに対して、RASコンポーネントの発現時期が比較的限られるためと考えられた. 一方、つくば高血圧マウスを用いた実験においては、比較的安定した結果が得られており、RASが変形性関節症の増悪因子として役割を果たしている可能性が示唆される結果であった.
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、HTMと野生型マウスの自然飼育実験と走行負荷実験を継続する.また、大動脈の硬化性病変の出現、変形性関節症の長期観察を継続し、大動脈の動脈硬化性病変と変形性関節症の関連性を検討する.特に、関節軟骨変性と同時に、骨・軟骨接続部(下層の石灰化軟骨層および軟骨下骨)の病理学的変化に着目して検討を行う.X線学的検討も同時に行う. さらに、RAS抑制薬であるACE阻害薬、ARB(AT1R特異的阻害薬)、AT2R特異的阻害薬(PD123319)の投与を行い、これら薬剤による血圧の変化、動脈硬化症発症、変形性膝関節症発症および進行に与える影響をX線学的および組織学的に検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に発生したマウス飼育費について証憑書類の整備が遅れたため 予定通りマウス飼育費にあてる
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