研究実績の概要 |
平成27年度はイソフルランおよびセボフルランの2種類の揮発性吸入麻酔薬が免疫細胞のATP産生量に与える影響の違いが細胞内ATP産生にかかわる細胞内シグナル伝達と、細胞のアポトーシスにかかわる細胞内シグナル伝達の違いにある可能性を解明するために行われた。 [実験1]セボフルラン曝露による胸腺細胞内ERK1/2活性変化測定実験:比較的若い生後4週齢のBalb/cマウスの胸腺細胞をセボフルラン0MAC, 1MAC, 3MACにそれぞれ20分間、1時間、3時間曝露し、胸腺細胞内のERK1/2活性変化をBD Phosflow Technologyを用いて観察した。[結果1]セボフルラン1MAC曝露群では0MAC曝露群に比較し、曝露時間20分間および1時間においてERK1/2活性に差は認められなかったが、曝露時間3時間において1MAC曝露群のERK1/2活性は0MAC曝露群に比較し増大した。セボフルラン3MAC曝露群では0MAC曝露群に比較し、曝露時間20分間でERK1/2活性は増大したが、曝露時間1時間および3時間では差は認められなかった。[実験2]イソフルラン曝露による胸腺細胞内ERK1/2活性変化測定実験:実験1と同様にイソフルラン0MAC, 1MAC, 3MACにそれぞれ20分間、1時間、3時間、マウス胸腺細胞を曝露し、胸腺細胞内のERK1/2活性変化を観察した。[結果2]イソフルラン1MAC曝露群のERK1/2活性は0MAC曝露群に比較し曝露時間20分間において増大したが、曝露時間1時間では差がなくなり、曝露時間3時間では低下した。イソフルラン3MAC曝露群でもERK1/2活性は0MAC曝露群に比較し曝露時間20分間において増大したが、曝露時間1時間では差がなくなり、曝露時間3時間では低下した。
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