申請者は揮発性吸入麻酔薬が直接的にリンパ球にアポトーシスを誘導することを初めて報告した。この研究過程で、異なる全身麻酔薬によって誘導されるリンパ球アポトーシスの強さに差があることが判明した。本研究ではこの全身麻酔薬によるアポトーシス誘導の強弱の原因に細胞内情報伝達が関与していることを示すために、リンパ球のATP産生量と分裂促進因子タンパク質キナーゼ(MAPK)誘導に着目して研究を行った。その結果、イソフルランはリンパ球のATP産生とMAPKを抑制したが、セボフルランはATP産生とMAPKを刺激したことから、MAPK誘導の差がリンパ球アポトーシス誘導の強弱差に関与していることが示唆された。
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