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2013 年度 実施状況報告書

向精神薬服用患者に対する安全な全身麻酔管理に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25462400
研究機関富山大学

研究代表者

佐々木 利佳  富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10345572)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード向精神薬 / 海馬 / シナプス伝達
研究概要

【背景】臨床において精神疾患患者を麻酔する機会は増加しつつあるが,向精神薬による全身麻酔作用の修飾に関する機序は明らかでない.全身麻酔薬作用に及ぼす向精神薬の影響を検討する目的で,ウィスター系雄性ラットから作製した海馬スライス標本を用いた検討を行った.
【実験方法】ラットを麻酔後断頭して海馬を摘出し,海馬スライス標本を作成した.標本は,Roth教授(海外共同研究者)と共同開発した脳スライス用チャンバーに移し,サーキュレータを用いて37℃に保った.刺激電極および記録電極は,マイクロマニピュレーターを用いて操作した.シナプス電位は電気刺激装置を用いて誘発し,微小電極増幅器で観察した.実験は除振台上で行った.
【結果】海馬白板に逆行性に電気刺激を与えることにより、γーアミノ酪酸(GABA)を抑制性シナプス伝達物質とする反回性抑制経路が賦活され、抑制性シナプス伝達を観察することができる.一方双極性障害やうつ病の治療に用いられるバルプロ酸ナトリウムはシナプス前終末からのGABA放出を促進すると考えられている.バルプロ酸ナトリウム(0.5-2.0 mM)は抑制性シナプス伝達を促進したが,frequency-dependentやuse-dependentな変化は認められず,静脈麻酔薬(チオペンタール,プロポフォール)とは作用機序が異なると考えられた.
次年度はバルプロ酸ナトリウムと静脈麻酔薬との相互作用についてin vitroで検討する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラット海馬スライス標本モデルの作製に成功し,シナプス伝達の電気生理学的検討が予定どおり進んでいる.

今後の研究の推進方策

今年度は,バルプロ酸ナトリウムの抑制性シナプス伝達促進メカニズムが,静脈麻酔薬のそれと異なることを明らかにした.この知見を基に次年度は,さまざまな向精神薬と麻酔薬の相互作用を検討し,結果を解析・考察する.

次年度の研究費の使用計画

当初予定していた物品の購入価格が安価に済んだため、繰越金が発生した.
残金は来年度に繰り越して使用予定.
来年度は研究発表が増加する予定である.さらに再来年度に向精神薬投与ラットの作成予定であるため、その資料収集機会が増加すると考えられる.今年度残金は、旅費・資料収集費用に使用することを考えている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 麻酔薬作用の修飾機序に関する電気生理学的アプローチ (総説)2013

    • 著者名/発表者名
      廣田弘毅、佐々木利佳
    • 雑誌名

      臨床麻酔

      巻: 37 ページ: 603-614

    • 査読あり
  • [学会発表] 開腹術後ICU入室早期に再挿管となった3例の検討2013

    • 著者名/発表者名
      渋谷伸子、川上正晃、青木優太、佐々木利佳、広田弘毅、山崎光章
    • 学会等名
      第33回日本臨床麻酔学会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20131101-20131103
  • [学会発表] 扁桃体機能は海馬における全身麻酔薬作用を修飾する ー扁桃体/海馬複合体スライスを用いた検討ー2013

    • 著者名/発表者名
      佐々木利佳,広田弘毅,山田正名、山崎光章
    • 学会等名
      第60回日本麻酔科学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130523-20130525
  • [図書] 徹底ガイド 心臓麻酔Q&A2013

    • 著者名/発表者名
      佐々木利佳,山崎光章
    • 総ページ数
      283
    • 出版者
      総合医学社

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公開日: 2015-05-28  

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