研究概要 |
本研究の目的は、心肺蘇生時に使用されるアドレナリン、バソプレッシンが、心肺蘇生後再灌流時の脳血流や蘇生後の脳組織にどのような作用をおよぼしているか調べることである。蘇生後に類似した脳虚血・再灌流を行ったニホンシロウサギに対して、吸入麻酔または静脈麻酔下でアドレナリンまたはバゾプレッシンが脳血管径、脳血流量などに与える影響をcranial window法を用いて検討していく。 今年度は、静脈麻酔下でアドレナリンまたはバゾプレッシンが正常脳血管に直接与える影響を調べた。また、静脈麻酔下で、アドレナリンまたはバゾプレッシンが脳虚血・再灌流後の脳血管に対し直接与える影響を調べた。 正常脳血管に対して、10-9, 10-7, 10-5, 10-4 mol/Lのアドレナリン、または10-11, 10-9, 10-7, 10-6 mol/L のバゾプレッシンをcranial window内に投与した。アドレナリン、バゾプレッシンともに、いずれの濃度においても脳血管径に対して有位な影響を与えなかった。 次に脳虚血・再灌流後の脳に対して、10-5 mol/Lのアドレナリン、または10-7 mol/L のバゾプレッシン、またはコントロールとして脳灌流液をcranial window内に投与した。バゾプレッシンはコントロールと比較して脳血管径に与える影響を認めなかった。アドレナリンはコントロールと比較して、脳虚血・再灌流後の脳血管の収縮に対して拮抗する作用を認めた。
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