研究課題/領域番号 |
25462408
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
石和 大 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (30457858)
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研究分担者 |
安藤 富男 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (00193110)
紙谷 義孝 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (90381491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経伝達物質 |
研究実績の概要 |
吸入麻酔薬やケタミンを使用した動物実験モデルでは、未成熟期の麻酔薬曝露が神経細胞死を誘発し、学習障害を引き起こすことが報告されている。私たちは、この過程にCl-共輸送体によるKCC2排泄機構の変化およびそれに伴うGABA受容体の脱抑制の関与が示唆されている。しかしながら、臨床分野で広く使用されるGABA受容体アゴニストであるミダゾラムについて、成長期以降の記憶脳への影響を検証した研究はほとんどない。本研究では①未成熟期にミダゾラム投与を行い、成長期以降に社会的行動、認知能力に関する行動実験への影響を検討すし、②組織学、生化学および電気生理学的手法を用い投与頻度や容量変化に伴う脳機能への影響を包括的に評価する。さらに③Cl-共輸送体の一つ、KCC2の選択的活性化薬剤であるCLP290を投与することにより、これらの現象が抑制されるかを検証してきた。①に関してはミダゾラム30mg/kgを1日間投与しただけでは記憶学習能に変化は見られなかったが、3日連続投与することで成体での記憶学習障害が生じた。また、②組織学的には、ミダゾラム30mg/kgを3日連続投与することで、大脳皮質や視床などで広範囲にわたるアポトーシスがTUNEL染色により確認された。これら脳領域は、過去に吸入麻酔薬で報告のある脳領域とは異なっていた。さらに③に関する実験を現在進めており、具体的にはCLP290の濃度検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミダゾラム、CLP290併用に伴い幼若ラットの致死率が上昇しており、その改善のための濃度検討に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
ミダゾラムおよびCLP290の用量設定ができたため、今後は上記実験を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬剤併用に伴い致死率が増加してしまったため、実験に遅延が生じ、総括的な研究報告に至らないと判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後幼若ラットにミダゾラムおよびCLP290を投与する実験を行い、組織染色および行動実験を行う。繰越金に関しては動物購入費用および染色等の実験費用に充てる。
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