多くの麻酔薬が幼若脳に広範なアポトーシスを生じることが報告されているが、その機序の全容は明らかではない。GABAA受容体は幼若脳では脱分極性の反応を生じ、GABAA受容体刺激作用のある麻酔薬は、興奮作用を示す可能性がある。私たちはCl-共輸送担体によるCl-排泄機構の変化およびそれに伴うGABA受容体の脱抑制が細胞毒性に関与しているのではないかと考えた。 実験の結果、①未成熟期にミダゾラム投与を行い、成長期以降に社会的行動が阻害された、②組織学に脳機能への影響を包括的に評価した、③Cl-共輸送担体の一つであるKCC2の選択的活性化薬剤であるCLP290を投与することで、これらの現象が抑制された。
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