研究課題/領域番号 |
25462417
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
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研究分担者 |
西山 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00155532)
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60318144)
小高 光晴 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (90280635)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微小循環 / 出血性ショック |
研究概要 |
最近本邦で中分子量のヒドロキシエチルデンプン(Voluven)(以下HES)が使用可能となった。家兎急性大量出血モデルで乳酸リンゲル(LR)で対処する場合とHESを用いた場合の微小循環および中心静脈酸素飽和度(ScvO2)について検討した。 <方法>家兎耳介に透明窓を装着し微小血管の循環動態を生体顕微鏡下で観察した。血流速度はビデオカメラで赤血球の移動距離よりを求め血流量は血流速度と血管の断面積の積より算出した。内頚静脈よりCVオキシメトリカテーテルを挿入しScvO2を測定した。麻酔はイソフルランで維持した。脱血量を循環血液量の50%を目標として、1回の脱血量を20mlとしで4段階に分けて3分間隔で計80mlを脱血した。中分子量HES投与のHES群(n=10)は脱血操作後、HESを20ml急速静注したのち、160ml/hr点滴静注し、総量100mlを静脈内に投与した。LR投与のLR群(n=10)ではLRをHESと同様の方法で3倍量投与した。t検定で統計処理した。 <結果および考察>脱血操作終了後、細動脈の血管径は両群ともに減少し、HES群では脱血前の41.52± 14.8% 、LR群では43.9 ± 13.1%となり有意差はなかった。輸液終了後、LR群の血管径は61.67± 10.9%の回復に対し、HES群は96.8 ± 11.4% に回復し、血管径はHES群で有意に上昇がみられた(p<0.005)。血流速度および血流量も同様であった (p<0.005)。ScvO2は輸液蘇生後、LR群は42.6 ± 5.7%に対し、HES群は83.8 ± 10.2% に回復した(p<0.005)。大量出血時の輸液蘇生として中分子量HESはミクロおよびマクロの血行動態に有利に作用すると考えられた。 <結語>急性大量出血における中分子量HESの投与で、微小循環および中心静脈酸素飽和度は改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ショックモデルの微小循環の観察を目的としていた。そのうち出血性ショック時の輸液蘇生にとる微小循環の変化の研究を行い、日本麻酔科学会の優秀演題で採択された。
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今後の研究の推進方策 |
各種ショック状態における細動脈の血管径、血流速度、血流量および細静脈の白血球動態など微小循環を直視下で観察し、輸液蘇生、薬剤投与の効果・治療の過程を研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬剤の値上がりのより、年度内に予算では購入できなかったので、繰り越して次年度と合わせて購入する。 実験薬剤の購入
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