頸動脈結紮モデルを使用し、炎症性血管病変形成に対して内因性プロスタグランジンE2受容体の1つであるEP4受容体の役割を解明するために、野生型とEP4受容体欠損マウスを用いて、組織学的検討を行った。
頸動脈結紮4週の時点では、野生型とEP4受容体欠損マウスの血管組織には統計学的な有意差を認めなかった。このため、頸動脈結紮1週での組織変化の検討を加えた。これは、EP4受容体はマクロファージなどの炎症性細胞の浸潤に影響を及ぼす可能性が示唆されているためであり、血管炎症初期段階におけるEP4受容体の役割を解明することを目的としたものである。
野生型に比べてEP4受容体欠損マウスでは、結紮後の血管中膜層の飛行と新生内膜肥厚形成の程度が大きくなる傾向が認められた。新生内膜どうと中膜層の面積比は、野生型に比べてEP4受容体欠損マウスでは約2倍に増加した。現時点では、検体数が不足しているため、統計学的検討を行う段階ではないが、EP4受容体が炎症性血管病変の形成に影響を与える可能性が示唆された。
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