麻薬性鎮痛薬は周術期に重要な役割を担っているが、必要量と副作用発現量に大きな個人差がある。μ受容体遺伝多型などがその一因とされるが、海外では変異型が少なく正確な検討がなされていない。また各大陸人種別の遺伝多型頻度の差異に関する報告もない。そこで、安全性向上を目的に、変異型の多い本邦でこれらを研究し、適切な麻薬性鎮痛薬投与量を検討、またμ受容体からのシグナル伝達系などについても調べた。アフリカや欧米諸国と比較して多型頻度の逆転現象を発見、人種差が大きいことを見いだした。また麻薬性鎮痛薬の必要量は、多型タイプに依存し、遺伝子変異が無い場合には、半量以下に減量する必要がある。
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