研究課題/領域番号 |
25462427
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山本 衛 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90422477)
|
研究分担者 |
三高 千恵子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (20126254)
内田 篤治郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40262183)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 急性肺傷害 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
多施設共同研究「RAGEの肺傷害マーカーとしての臨床的意義の検討―探索的研究―」における追加検討を行った。平成19年度より3年間施行されたこの多施設共同研究における116例の対象患者のうち、サンプルが十分に測定できた84例について、Angiopoietin-1および-2の濃度変化を検討した。Angiopoietin-2は術後、POD-1にかけて濃度が上昇し、POD-1における濃度が 4.6ng/mLを超えた症例では、人工呼吸期間が延長する傾向にあることが示された。また、肺外科手術におけるバイオマーカープロファイルに関する臨床研究を開始し、IL-6,IL-8, Angiopoietin-2の測定を行い、結果を検討中である。特に、胸膜剥離術施行患者では肺葉切除術施行患者と比較して、術後のサイトカイン血中濃度の変化が大きい可能性が示唆された。また、多施設共同研究「RAGEの肺傷害マーカーとしての臨床的意義の検討―探索的研究―」における追加検討について、Neutrophil extracellular trapの形成を定量し、周術期肺傷害や腎機能障害との関連について、結果を検討した。心臓手術の術直後にはNeutrophil extracellular trap形成の指標である血清遊離二重鎖DNAの濃度が上昇し、手術翌日にかけて減少するが、術後の炎症性サイトカイン濃度の高い患者ではこのクリアランスが遅延する傾向が認められた。さらに、手術翌日の血清遊離二重鎖DNAの濃度は術前後でのクレアチニンの上昇度と良好な相関が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Angiopoietin-1および-2について、周術期の変化を検討し、成果を得ることができた。また、Neutrophil extracellular trapの形成が評価の対象として加わり、臓器障害との関連を検討している。今後、対象手術については、肺外科手術が加わり、分析の幅が増えてきた。
|
今後の研究の推進方策 |
多施設共同研究「RAGEの肺傷害マーカーとしての臨床的意義の検討―探索的研究―」における追加検討においては、Neutrophil extracellular trapの形成と、周術期のクレアチニン値の上昇に相関があることが示唆された。今後は前向き研究をデザインして、データ収集をしていくことを検討する。また、肺外科手術におけるバイオマーカープロファイルに関する臨床研究が現在進行中であり、バイオマーカーの測定をさらに進め、特に肺葉切除手術と胸膜剥離手術の違いについて、検討を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
必要物品を購入した結果、繰越額が発生したため、次年度に繰越して、研究計画に基づいて使用する予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
引き続き、平成28年度予算に加算して、ELISAキットの購入や論文出版の際の諸経費(Open Access化費用を含む)として使用していく予定である。
|