研究課題
東京医科歯科大学医学部附属病院で施行された肺部分切除15例、肺葉切除59例、胸膜剥離手術6症例における麻酔導入直後、手術終了直後及び手術翌日に採血を行い IL-8, Angiopoietin-2の変動について検討した。肺部分切除術においては、上記3測定ポイントにおけるこれら2つのバイオマーカー測定値に有意な変化が認められなかったが、肺葉切除手術、胸膜剥離手術においては、IL-8が術直後にピーク値をとったのに対して、Angiopoietin-2は、術直後より手術翌日にかけて有意に上昇した。上昇の程度は、いずれの指標においても、胸膜剥離術では、肺葉切除よりも有意に高く、本術式では、術後一過性にサイトカイン値が高値となる特徴を有していることが示された。しかし、手術翌日のAngiopoietin-2濃度の中間値、四分位範囲は 2.7ng/mL、2.1-3.4ng/mLであり、我々が心臓手術で行った呼吸不全を示唆するカットオフ値4.6ng/mLよりは低く、今回対象となったいずれの患者も手術直後の抜管が成功し、再挿管に至ることがなかったことに矛盾しない結果となった。また、多施設共同研究「RAGEの肺傷害マーカーとしての臨床的意義の検討―探索的研究―」における追加検討について、Neutrophil extracellular trap形成の指標として血清遊離二重鎖DNA濃度を測定したところ、術後の炎症が遷延する患者では、このクリアランスが遅延する傾向が認められ、手術翌日の血清二重鎖DNAの濃度が、手術翌日における血清クレアチニン地の上昇度との良好な相関が認められたため、このことについて、論文発表を行った。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Anesthesiol Res Pract
巻: 2016 ページ: 2794364
10.1155/2016/2794364