研究課題/領域番号 |
25462428
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
正宗 大士 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (40324199)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 体温 / シバリング / 制吐薬 |
研究概要 |
手術中の体温は低下することが多く、その結果、術後の患者でシバリングが認められることがある。その結果、患者にとって重大な合併症が起こりうる。一方、周術期に麻酔薬等の影響で悪心嘔吐が起こることが多くあり、制吐薬を投与する機会も多い。ウサギにおいて、各種制吐薬を投与したときのシバリングの閾値温度を調べ、シバリングと各種制吐薬の影響を調べる。 ドロペリドールはブチロフェノン系の神経遮断薬であり、現在では主に麻酔中の制吐薬として使われる。ドロペリド-ルとシバリング閾値温度との関係は現在不明である。今回われわれは、ドロペリドールはシバリング閾値温度を低下させるという仮説を立て、検討した。予備実験の結果、2群間で比較検討を行うこととした。そのこと以外は、実験方法は研究実施計画の通りに行った。 ニホンシロウサギ35羽を無作為に分け、コントロールのC群18羽、ドロペリドール投与のD群17羽とした。D群はドロペリドール5mg/kgを静注後、5mg/kg/hrで持続静注した。C群は同量の生理食塩液を静注および持続静注した。結果はunpaired Student's t testで統計処理した。シバリング閾値温度は、C群で38.2±1.0℃、D群で36.4±1.3℃となり有意差を認めた。つまり、ウサギにドロペリドールを投与するとシバリング閾値温度が低下した。ドロペリドールは制吐作用と共にシバリング抑制作用も期待できる可能性がある。 以上の内容を平成26年5月に開催の日本麻酔科学会第61回学術集会において報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画では、シバリング閾値温度を調べる各種制吐薬として、ドロペリドール、メトクロプラミド、トラベルミン注(ジフェンヒドラミン塩酸塩・ジプロフィリン注射液)の3種類をあげている。2群間比較とはなったが、ドロペリドールについて比較検討を行い、平成26年度の日本麻酔科学会において発表する予定であり、また、トラベルミン注(ジフェンヒドラミン塩酸塩・ジプロフィリン注射液)の予備実験がおわり現在本実験施行中であるので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、トラベルミン注(ジフェンヒドラミン塩酸塩・ジプロフィリン注射液)において、シバリング閾値温度の比較検討を行うため、次の3群に分け、実験中である。 ①生食を30分かけて静注した群、②トラベルミン注0.02ml/kgを30分かけて静注した群、③トラベルミン注0.2ml/kgを30分かけて静注した群。 実験終了後、学会において発表の予定である。 平成26年5月に開催の日本麻酔科学会第61回学術集会において報告する予定のドロペリドールのシバリング閾値温度の比較検討に関する内容については、今後論文作成予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は予備実験が多く消耗品購入が少なくなり当該額を次年度に繰り越すこととなったが、次年度は本実験の施行が多く、当該額を使用予定である。 消耗品として、制吐薬(トロベルミン注(ジフェンヒドラミン塩酸塩・ジプロフィリン注射液)、メトクロプラミド)、実験動物(ウサギ)、麻酔を施行するための麻酔薬やボンベ類、ウサギを手術するための物品、各種測定に用いるキット類等が、研究遂行のため必要で、これに使用する予定である。
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