研究概要 |
敗血症時の脳における炎症反応は、急性期には、炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)の産生により開始されるが、これらサイトカインは主としてマイクログリアやアストロサイトといったグリア細胞によって産生される。申請者は、マウス由来初代培養グリア細胞において、全身麻酔薬(イソフルラン、プロポフォール、バルビタール、ミダゾラム、ケタミン)が共通して、リポ多糖(Lipopolysaccharide, LPS)刺激下での炎症性サイトカイン、特にIL-1βの誘導を、転写レベルにおいて濃度依存的に抑制することを見いだした。この機序として、MAPKのリン酸化が、各種麻酔薬によって共通して抑制されることを見いだし、これらの作用を精査することで、全身麻酔薬の作用の新たな一面を明らかにできるのではないかと考えている。
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