研究課題/領域番号 |
25462439
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
徳田 賢太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (10419567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 硫化水素 / 急性肝不全 |
研究概要 |
本研究の目的は、急性肝不全・劇症肝炎に対して硫化水素が肝保護作用を発揮するのか、その作用メカニズムを生体および分子レベルで解明することである。この目的を達成するために本年度は、外因性硫化水素が急性肝不全を抑制するという仮説を検証する事を計画していた。 当初の予定では、マウスを用いた実験系を構築して研究を進める予定にしていたが、動物実験申請の準備に手間取ってしまい、また海外共同研究者のもとで本研究代表者も加わって行った硫化水素ガスを用いた研究が順調に進んだため、彼らが実施した実験により本年度の研究実績の一部がもたらされた。すなわち、予備実験により硫化水素ガスの吸入により急性肝不全マウスの生存率が改善する事は分かっていたが、これは硫化水素ガスの吸入によって肝臓の逸脱酵素の増加が抑制されることが判明した。そしてこれは肝臓でのアポトーシスが著明に抑制されるためである事が判明した。ここまでの結果は、国内外のいくつかの学会で発表する事ができた。硫化水素供与体(GYY4137)を用いた実験系は今後構築をすすめていく必要がある。 また海外共同研究者のもとですすめていた硫化水素産生酵素欠失マウスを用いた急性肝不全の研究も成果を上げる事ができ、学術誌に掲載された。この研究結果は次年度に計画していた研究仮説と相反する結果であった。この研究結果を慎重に解釈し、必要があれば次年度の研究仮説の修正を行う必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、外因性硫化水素が急性肝不全を抑制するという仮説を検証する事を計画していた。 海外共同研究者のもとで本研究代表者も加わって行った硫化水素ガスを用いた研究が順調に進んだため、彼らが実施した実験により本年度の研究実績の一部がもたらされた。すなわち、予備実験により硫化水素ガスの吸入により急性肝不全マウスの生存率が改善する事は分かっていたが、これは硫化水素ガスの吸入によって肝臓の逸脱酵素の増加が抑制されることが判明した。そしてこれは肝臓でのアポトーシスが著明に抑制されるためである事が判明した。ここまでの結果は、国内外のいくつかの学会で発表する事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず硫化水素供与体を用いた急性肝不全の実験系を確立する必要がある。また肝不全および硫化水素供与体による肝保護作用の生化学的評価を実施する予定である。 一方で、海外共同研究者らによってなされた、硫化水素産生酵素欠失マウスでの実験で、硫化水素産生酵素欠失が肝保護作用を生じるという、当初の予想を覆す結果が得られた。この結果を踏まえて、次年度に予定していた、内因性硫化水素レベルの低下によりアポトーシスとそれに伴う肝障害が悪化するという仮説を変更する事を考慮する必要がでてきた。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は物品購入にかかる経費が少なく、次年度使用額が生じた。 次年度は、試薬等の購入に費用がかかる予定である。また、海外学会での研究発表の予定も入っており、それに関する旅費も必要となる。
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