研究課題/領域番号 |
25462446
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
川上 裕理 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90407958)
|
研究分担者 |
渡辺 至 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20534142)
三浦 倫一 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 講師 (50448677)
水野 祐介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80433192)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 肺高血圧 / VPAC2 / VIP / 心拍出量 |
研究概要 |
原発性、二次性肺高血圧症は周術期心血管イベントリスクを明らかに増加させるが、周術期に関して体系的に評価・管理する手段は確立されていない。肺血管抵抗を低下させる薬剤として慢性期にはPGI2持続静注等の血管拡張薬等が用いられ予後を改善するとされるが、周術期リスクを低下させるかは不明である。 神経伝達物質vasoactive intestinal peptide (VIP)は原発性肺高血圧患者、実験的肺高血圧モデルに対する吸入投与よる改善報告等から、肺血管拡張薬の一つとして次世代の治療薬としての可能性を期待され、またVIP遺伝子及び70%アミノ酸相同性を持つPACAPの受容体PAC1遺伝子ノックアウトマウスが肺高血圧を呈したこと等から、VIP/PACAPは肺高血圧に保護的に作用すると考えられている。しかしVIPは血圧低下等の副作用や、短い半減期等のため投与方法・費用の問題から評価は確立していない。 本研究ではVIP,PACAPが作用するVPAC1, VPAC2 及びPAC1の3つの受容体に対するアゴニストの肺高血圧モデルに対する血行動態を検討し、VIPのより詳細な機能と肺高血圧症への治療薬としての可能性を検討した。 その結果、VPAC2受容体選択的アゴニストはVIPに比較し優れて右室圧低下、肺血管抵抗低下、更に心拍出量増加作用が認められた。一方で、VPAC1受容体選択的アゴニストに右室圧低下作用は認められなかった。以上からVPAC2アゴニストはVIPより優れた肺高血圧治療薬となる可能性が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に使用する肺高血圧モデルの作成、評価方法は既に我々の教室で確立していた。薬剤の循環動態の評価は問題なく開始され、順調にデータを蓄積している。
|
今後の研究の推進方策 |
VIP,PACAPの3つの受容体に対するアゴニストを用い、肺高血圧における循環導体の変化のデータを更に収取する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験的肺高血圧症モデルが、既に本学研究者内で確立していたため、当初の計画よりも、動物実験が順調に進み、データが取得できた。実験回数が減ったことにより、動物費用、消耗品費等に未使用額が発生した。 今後、現在の実験系を維持しデータの取得を進める。
|