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2015 年度 実施状況報告書

神経障害性疼痛モデルラットにおける下降性抑制系賦活機構の検討

研究課題

研究課題/領域番号 25462448
研究機関大阪市立大学

研究代表者

西川 精宣  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (20145791)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード下行性抑制系 / in vivo patch clamp / 脊髄 / トラマドール / 交感神経
研究実績の概要

本研究の目的は、神経障害性疼痛の病態を模したChung のラット脊髄神経結紮モデルを用いて、行動学的実験とともに、脊髄in vivo patch clamp 法を用いたシナプス応答を解析し、各種鎮痛薬あるいは交感神経遮断がもたらす効果における下行性抑制系の役割を明らかにすることである。
昨年度はトラマドール投与により脊髄in vivo patch clamp studyで自発性の興奮性シナプス後電流(sEPSC)減少と抑制性シナプス後電流(sIPSC)が増加するのは、脊髄よりも上位でのトラマドールの主要代謝物M1の作用によること、またsIPSCの増加作用は脊髄上位でのM1の作用が関与していることが頸髄半切断による脊髄下行性抑制経路の離断実験でわかった。
本年度は神経障害疼痛モデルであるChungモデルを作成して、脊髄in vivo patch clampで検討すると、トラマドール投与によりsEPSCは減少, sIPSCはあまり変化なかった。選択的定量的侵害刺激を再現するために、覚醒下で求めたピンチ刺激、熱刺激による逃避反応閾値より大きい一定の刺激を与えて誘発EPSC、誘発IPSCの変化を検討したが、やはりトラマドール投与により誘発EPSCは減少, 誘発IPSCはあまり変化なかった。下行性抑制系の薬理学的遮断遮断を行った動物は少数であるが、トラマドールにより誘発EPSCは減少した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

この痛みに関する脊髄in vivo patch clamp研究において、特異性、定量性のある刺激を用いて刺激条件を揃えてデータの統一性を確保することが非常に重要であり、ピンチメーターと一定の熱刺激を設定できる痛覚計(熱刺激)で検討している。本来の目的に沿った修正研究計画で進行しているが、神経障害痛モデルを作成し、その後に薬理学的下行性抑制系破壊を行っているため、この二つの処置を行ったあとで限定されたtime windowで行う脊髄in vivo patch clampの実験の成功率が低く、complete studyがなかなか増えない状況である。脊髄下行性抑制経路が重要な役割を演じている事を想定して研究内容に大幅な変更は生じていないが、遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

機械的疼痛刺激を再現するピンチメーターと痛覚計(熱刺激)を代替装置として使用する事で本来の目的に沿った修正研究計画ですすめていくが、パルスジェネレーターの出力を工夫して数種類のサイン波を出力できる装置を作成して疼痛刺激を再現する検討も行う。引き続きChungモデルにおいて下行性のノルアドレナリンニューロン破壊を行った時のトラマドールの反応の違いを脊髄in vivo patch clamp法での結果をもとにその機序を解明してゆく。できればデクスメデトミジンについても検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

ラット脳室内にドパミンβ-ヒドロキシラーゼ サポリンを注入して数日で両側性に青斑核、A5,A7までの広い範囲の下行性抑制系ノルアドレナリンニューロンが破壊される。
しかしながら、Chungモデルで神経障害性痛作成、下行性抑制系を破壊、脊髄in vivo patch clampでの検討という一連の実験を多数の個体で完遂するのが困難であった。そこで、使用期限の短いドパミンβ-ヒドロキシラーゼ サポリンの購入を控えたため次年度使用額が生じた。研究協力者も増やして、研究機関を1年延長することとした。

次年度使用額の使用計画

ラット20匹、およびドパミンβ-ヒドロキシラーゼ サポリンの購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Effects of Tramadol on Substantia Gelatinosa Neurons in the Rat Spinal Cord: An In Vivo Patch-Clamp Analysis2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Yamasaki, Yusuke Funai, Tomoharu Funao, Takashi Mori, Kiyonobu Nishikawa
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0125147

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0125147

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Neuropathic Pain Diminishes Cellular Damages at Ischemia-reperfusion Injury in Cardiac Myocytes2015

    • 著者名/発表者名
      Shigeaki Kawai, Hiroyuki Yamasaki, Tokuhiro Yamada, Kiyonobu Nishikawa
    • 学会等名
      2015 Annual Meeting, American Society of Anesthesiologists
    • 発表場所
      San Diego Convention Center, San Diego, USA
    • 年月日
      2015-10-27 – 2015-10-27
    • 国際学会
  • [学会発表] 全身麻酔手術における胸部硬膜外麻酔の術直後心室再分極への影響:無作為化比較試験による検討2015

    • 著者名/発表者名
      辻川翔吾, 堀耕太郎, 舟井優介, 松浦正, 森隆, 西川精宣
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第62回学術集会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル、神戸
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-28
  • [学会発表] ブピバカインのリピッドレスキューにおける電気生理学的効果の検討2015

    • 著者名/発表者名
      堀耕太郎, 松浦正, 辻川翔吾, 森隆, 久野みゆき, 西川精宣
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第62回学術集会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル、神戸
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-28

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公開日: 2017-01-06  

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