研究課題/領域番号 |
25462449
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
林 浩伸 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30464663)
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研究分担者 |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50295789)
野村 泰充 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30596771)
吉谷 健司 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (30524029)
岡本 全弘 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30458038)
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10238959)
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
谷口 繁樹 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90183467)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 術後視機能障害 / 術後脳障害 / 脳分離体外循環 / 眼血流 / Laser speckle flowgraphy |
研究概要 |
脳分離体外循環を併用した胸部大動脈人工血管置換術を予定された14症例(平均年齢68歳、男性5名、女性9名)を対象として、術中に眼血流を測定し術後脳障害との関連を検討した。眼血流の測定には、Laser Speckle Flowgraphy(LSFG)(ソフトケア社製、福岡県飯塚市)を用いて行った。血流測定範囲を視神経乳頭に指定して、(1)麻酔導入後30分、(2)人工心肺開始後30分、(3)脳分離体外循環開始後30分、(4)人工心肺終了後30分にLSFGを用いて血流測定を行った。術後脳障害の定義は、痙攣または麻痺とした。 全症例において、すべての測定ポイントでの視神経乳頭血流測定が可能であった。視神経乳頭血流の測定値は、(1)21.2±6.2、(2)16.5±6.9、(3)12.6±3.8、(4)23.0±5.8であった。術後に脳障害を認めたのは4症例で、このうち3症例で痙攣、1症例で脳梗塞による麻痺が発生した。術後脳障害を認めた群と術後脳障害を認めなかった群の脳分離中の視神経乳頭血流値はそれぞれ14.1±5.4、11.9±10.7であった。術後脳障害を認めた群と術後脳障害を認めなかった群の脳分離体外循環中の視神経乳頭血流値には、統計学的に有意差を認めなかった。 LSFGを用いた眼血流測定は、脳分離体外循環を併用した胸部大動脈人工血管置換術で使用可能であったが、眼血流値と術後脳障害の間には明らかな関連は認めなかった。今後は、さらに症例数を増やして検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳分離体外循環を併用した心臓血管手術では頭部の血流は低下するため眼血流をモニタリングすることが困難になる可能性があったが、Laser speckle flowgraphy(LSFG)を使用することで安定して眼血流測定が可能であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
脳分離体外循環を併用した胸部大動脈人工血管置換術での眼血流測定と周術期の脳・眼合併症の調査を続け、症例数を増やすことで適切な脳分離体外循環の灌流圧を調査していく。さらにポータブル眼底カメラ(OPTOMED M5)(キャノンマーケティングジャパン株式会社)を用いて、胸部大動脈人工血管置換術中の眼底血管の径の変化や塞栓などの調査も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
検討した症例数が少なかったため、消耗品が少なくてすんだため。 研究データを正当性をもって残していくために研究ノートを積極的に使用していくため、文房具などの消耗品を充実させる。
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