研究分担者 |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
野村 泰充 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30596771) [辞退]
吉谷 健司 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30524029)
岡本 全弘 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (30458038)
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10238959) [辞退]
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
谷口 繁樹 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90183467)
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研究実績の概要 |
①選択的脳分離体外循環時の一般的な脳灌流圧モニターとしては、橈骨動脈圧や脳送血カニューレ先端圧が用いられる。しかしこれらは頭部外での循環圧なので、脳送血カニューレの位置異常や頚動脈狭窄があれば脳灌流が不十分になってしまう。眼動脈は内頚動脈の分枝のためLSFGによる眼血流測定によって内頚動脈の血流を評価できるため脳灌流圧の指標になり得る。17症例の選択的脳分離体外循環を用いた胸部大動脈人工血管置換術において、LSFGによる眼血流測定が脳灌流の指標になり得るかを検討した。選択的脳分離体外循環中のLSFGによる眼血流は手術開始前と比較すると40.6%の低下を認め、LSFGを用いた術中眼血流測定が脳灌流の指標になり得ることが示唆された。(Hironobu Hayashi, et al. Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia. 30: 613-8, 2016) ②選択的脳分離体外循環を併用した胸部大動脈人工血管置換術24症例でLSFGによる眼血流と橈骨動脈圧の関連を調査した。結果は、中等度の相関(r=0.604、p<0.001)を認めた。脳酸素化指標である近赤外線分光法による局所脳酸素飽和度モニターとLSFGによる眼血流モニターの組み合わせで、術中脳モニターとして臨床応用が可能であることが示唆された。 ③選択的脳分離体外循環を併用した胸部大動脈人工血管置換術の術前と術後に精密眼検査(視野、色覚、眼底、視力、眼圧)を行った35症例(男性22症例、女性13症例)では、37.1%(13症例)で術後眼合併症を認めた。眼合併症の詳細は、視野検査(暗点)6症例、眼底出血3症例、視力低下2症例、眼圧異常2症例であった。ただし、術後眼合併症を認めた13症例のうち、12症例は無症候性、1症例のみ症候性(視覚野梗塞による同名半盲)であった。
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