近年、カメラの焦点を眼底に合わせることで眼血流を測定できるレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)が開発された。本研究では、脳・眼合併症の発生率が高いとされる胸部大動脈手術中にLSFGによって眼血流モニターを行った。人工心肺中、低体温下の選択的脳分離体外循環中、人工心肺後など様々な状況において、容易な測定手技と高い再現性でLSFGによる眼血流測定が可能であった。また従来から胸部大動脈手術中の脳灌流モニターとして用いられている橈骨動脈圧とLSFGによる眼血流値は中等度の正の相関を認めた。LSFGによる術中眼血流モニターは胸部大動脈手術中の脳灌流の補助的な指標になることが示唆された。
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