研究課題
高脂肪食を摂取した前立腺癌マウスxenograftは低脂肪食群に比べて有意に腫瘍増殖が亢進した。また高脂肪食摂取群と低脂肪食摂取群の腫瘍組織内のmicroRNA発現を網羅的microRNA発現解析で比較すると高脂肪食群で有意に発現が亢進するoncogenic-およびsuppressive-miRNAを複数同定した。抽出した候補microRNAに関して、3種類の前立腺癌細胞株と1種類の前立腺細胞株PNT1Bの発現を比較し、全3種類の前立腺癌細胞株でmir-130aの発現が有意に低下していた。更に、高脂肪食マウス血清を用いて培養した前立腺癌細胞株は増殖が亢進し、miR-130aが低下した。miR-130aを高発現した前立腺癌細胞株ではMET、DICER1、ARが亢進し、標的遺伝子である可能性がある。ヒト前立腺組織をレーザーキャプチャマイクロダイゼクションで癌と正常上皮に分離すると癌上皮でmiR-130aの発現が有意に低下していた。また前立腺癌全摘組織のMET発現がBMIの高い群で高値になる傾向が見られた。以上より高脂肪食はmiR-130/MET経路の亢進を介して、前立腺癌増殖に関与する可能性があると考えられた。また今回は詳細な検討ができなかったが、miR-665、miR-24、miR-27aも高脂肪食摂取下の前立腺癌増殖進展に関わっている可能性があり、miR-130aはDICER1やARなど重要な下流標的因子の候補が存在する。本研究はこれまで解明されていなかった生活習慣と前立腺癌の関与の一機序を解明したのみではなく、miR-130a/MET経路阻害が食生活による癌増悪防止につながる可能性があると考えられ、前臨床モデルでの今後の再検証が待たれる。
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Oncogenesis.
巻: 15 ページ: e195
10.1038/oncsis.2015.42.