研究実績の概要 |
平成25,26年度で得た成果をもとに検討をすすめた。ラパマイシン耐性腎癌細胞において、YM155 (survivin inhibitor)によるラパマイシンの抗腫瘍効果の回復、増感について検討した。【方法】まず腎癌細胞Caki-1を、段階的なラパマイシン濃度下で長期に培養し、最終的に10uMラパマイシン下で生存可能な耐性腎癌細胞(Caki-1-RapR)を作製した。その細胞では、survivin(a member of the inhibitor of apoptosis protein)の遺伝子が有意に高発現していた。【結果】< Caki-1-RapRを使用したin vitro実験> # survivin siRNA存在下にて、ラパマイシンの抗腫瘍効果が再現した。# YM155単剤により、survivin mRNA, タンパク発現、細胞増殖が抑制され、caspase-9 activityが上昇した。# YM155とラパマイシンの併用により、survivin mRNA, タンパク発現、細胞増殖がより抑制され、caspase-9 activityがより上昇した。< in vivo実験(YM155,ラパマイシン腹腔内投与)># Caki-1腫瘍は、ラパマイシンにより有意に増殖が抑制された。# Caki-1-RapR腫瘍は、ラパマイシン単独では有意には抑制されなかったが、YM155単独では有意に抑制された。さらに、YM155とラパマイシンとの併用ではより強力に増殖が抑制された。 【結論】 YM155によるsurvivinの抑制は、ラパマイシン耐性となった腎癌に対する治療の一助になる可能性が示唆された。
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